週間読書日記
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七尾与史(作家)
1月×日 知り合いの東大卒で元プロ雀士である美人弁護士が作家デビューしたということで、彼女からデビュー作が送られてきた。ペンネームは新川帆立。「元彼の遺言状」(宝島社 1400円+税)である。 …
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森達也(映画監督)
12月×日 この11月にシナハン(シナリオ作成のための現地調査)のために香川に行った作品の情報が、同行したテレビと新聞それぞれでニュースと記事として公開されたことで、事実上の解禁となった。プロデューサ…
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本橋信宏(ノンフィクション作家)
12月×日 還暦を4つ超えたいま、同世代の心身が気になる。 ここに来て同世代が点鬼簿に相次ぎ記されていくのだ。健康でなければ、何事も進まない。30代のころからのジム通いと散歩が私の健康法だ。 …
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吉村喜彦(作家)
12月×日 新刊「たそがれ御堂筋」(角川春樹事務所 600円+税)のキャラバンで大阪に行くことになった。新幹線のなかで何を読むか、迷うのは楽しい。今回は歌人・細胞生物学者の永田和宏さんと宗教学者・僧の…
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松井今朝子(作家)
12月×日 今日ようやく「小説すばる」誌で連載開始する「愚者の階梯」初回の入稿を済ませてほっとひと息。昭和戦前の歌舞伎界を背景にしたバックステージミステリー第3弾で、今回はラストエンペラー溥儀の来日と…
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北尾トロ(ノンフィクション作家)
11月×日 ラジオの収録で都心へ。帰りの特急電車内は絶好の読書室だ。「藤沢周平 遺された手帳」(文藝春秋 700円+税)は長女である遠藤展子さんの解説付きで読むことのできる、藤沢周平が3冊の大学ノート…
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中澤日菜子(作家)
11月×日 長女が猫を拾ってきた。なんでも公園に友だちといたところ、派手な車が来て、若いカップルがぽいと捨てて行ったそうだ。なんと無責任な。とはいえ我が家はペット禁止のマンション、飼ってやることはでき…
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倉阪鬼一郎(作家)
10月×日 川崎市で行われたトライアスロン大会に参加。今季はコロナ禍でシーズンインが10月だったが、一戦だけでも出場できて来季につなげることができた。 10月×日 入不二基義著「現実性の問題」(…
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石井妙子(作家)
11月×日 コロナに始まり、コロナに終わりそうな2020年。八百屋の店先には今年もマツタケが並んだが、舌鼓を打てた人はどれだけいたのだろう。街を歩けば、閉店の張り紙が目につく。コロナ禍は修行を積んだ板…
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成田龍一(歴史学者)
10月×日 武田徹著「現代日本を読む」(中央公論新社 900円+税)を読む。物語論の視座からのノンフィクションの議論。そもそもノンフィクションといったとき、「事実」を扱うことが出発点となるが、なにをも…
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藤井青銅(作家・脚本家)
10月×日 茨城県石岡市の中央図書館で、拙著「国名の正体」に関する講演。後半、国名クイズ大会になって楽しかった。 10月×日 小林のり一著、戸田学編「何はなくとも三木のり平 父の背中越しに見た戦…
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吉川永青(作家)
9月×日 7月に入稿した神武東征の物語について、版元のご意見を踏まえて改稿作業中。執筆の参考にした、長浜浩明著「古代日本『謎』の時代を解き明かす」(展転社 1780円+税)に改めて目を落とす。史学界で…
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川本三郎(評論家)
9月×日 北村薫さんの「雪月花」(新潮社 1500円+税)を読む。「謎解き私小説」と副題にあるが、博識の北村薫さんの文芸随筆(いわゆるコーズリー)として楽しく面白い。 ホームズの相棒がワトソン…
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近藤史恵(作家)
9月×日 連休の最中、どうしても見たい映画があり、京都のミニシアターまで足を伸ばす。「LETO」という80年代ソビエトに実在したロックミュージシャンたちを描いた映画だ。鬱屈した共産圏の空気が、今の日本…
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黒木亮(作家)
9月×日 コロナが怖いので、ひたすらロンドンの自宅で執筆中。7月からのレストラン等の再開で、英国のコロナ感染者数は1日2000人近くまで増えてきている。一方、死者数は毎日10人かそこらで、4月の“戦争…
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一ノ瀬俊也(埼玉大学教養学部教授)
8月×日 NHKの戦争番組をみている。毎年のように本土空襲、原爆、沖縄戦、ガダルカナルなどの話が繰り返される。もちろんどれも決して忘れてはならないのだが、それらとはまた別の側面から、先の戦争を俯瞰的に…
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冨士本由紀(作家)
8月×日 コロナウイルス禍以前の私は、暇さえあれば、書店にぶらりと寄ってのんびり書籍を物色する、というのが何よりの楽しみでした。ですが、今や状況がまったく変わりました。喘息持ちの私は、極力外出を控え、…
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江波戸哲夫(作家)
8月×日 最近「日本が貧乏になっている」というニュースをときどき目にするようになったが、GDPだってまだ世界第3位だし、それほど深刻に受け止めていなかった。 事実を確かめてみようと加谷珪一著「…
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森詠(作家)
8月X日 依然、コロナ・ウィルスが猛威を揮っている。台湾の李登輝元総統が亡くなった。 村上政彦著「台湾聖母」(コールサック社 1700円+税)は、李登輝と同じくかつて日本人の青野秋夫だった俳人…
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江上剛(作家)
7月×日 コロナ禍のニュースばかりで憂鬱になる。 玄侑宗久著「なりゆきを生きる―『うゐの奥山』つづら折れ」(筑摩書房 1600円+税)。著者は臨済宗妙心寺派福聚寺住職にして芥川作家。本書の中に…