孤独のキネマ
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「暗殺のオペラ」ムッソリーニと戦った亡父は誰に殺された
B・ベルトルッチの29歳の意欲作。先週、2K修復版ブルーレイが発売された。 イタリア北部の町「タラ」の駅にアトス・マニャーニ(ジュリオ・ブロージ)という青年が降り立った。アトスは亡き父の名で…
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いまだに議論される「シェーン」 ヒーローは死んだのか?
アラン・ラッドの名作。別れのシーンで有名だ。 ワイオミングの開拓地を訪れたガンマンのシェーン(A・ラッド)はスターレット(バン・ヘフリン)と出会い、農作業を手伝うことに。この地にはライカー兄…
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「駅 STATION」高倉健と3人の女が織りなす別れのドラマ
結末を知っていても感動できる映画がある。本作もそうした一本。倉本聰が高倉健の50歳の記念として脚本を書いた。1968~80年の12年間の物語だ。 北海道警の刑事・三上(高倉健)は射撃の五輪選…
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「レザボア・ドッグス」拷問と謎解きが交差する“任侠映画”
29歳のタランティーノ監督を世界に知らしめた傑作。香港映画「友は風の彼方に」のパクリだが、ハリウッドに新風を吹き込んだ。 「ミスターホワイト」「ミスターブラウン」など色で呼ばれる6人のギャング…
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「モーリス」 杉田水脈のLGBT差別に通じる同性愛への偏見
杉田水脈(自民党)のLGBT差別論文で「新潮45」が休刊に追い込まれた。そんなおり、本作がKADOKAWAから初めてブルーレイ化された。男の同性愛の物語だ。英国の上流階級の文化と厳格な身分制度が美し…
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「歩いても歩いても」 希代の名脇役が演じる母の“心の闇”
樹木希林が亡くなった。数々の作品で名演技を残した人だった。本作もそうした一本だ。 お盆が過ぎた夏のある日、横山良多(阿部寛)は妻ゆかり(夏川結衣)とその連れ子とともに実家に帰省する。家では医…
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「狼よさらば」平和主義者の中に眠る“狩猟本能”が目覚める
「丹頂チック」という整髪料がある。ポマードを押し出して髪に塗るもので、筆者の父はこれを使っていつも頭がベトベトだった。1971年、発売元の「丹頂」が突然「マンダム」に社名を変えた。新発売のマンダムシリ…
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「大統領の陰謀」 米国民はニクソンを追い詰めたが…
B・ウッドワードがトランプ政権の暴露本を書いて騒ぎになっている。国防長官のマティスがトランプを「小学5年生程度の理解力」とケナしたそうだ。 ウッドワードは「ワシントン・ポスト」でC・バーンス…
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「ミッドウェイ」勝つはずのミッドウェー海戦でなぜ負けた
太平洋戦争の分岐点となった海戦を描く。 真珠湾攻撃でダメージを受けた米海軍は、次の日本の標的がどこなのかを探っていた。ニミッツ大将(ヘンリー・フォンダ)は日本軍がミッドウェー島を狙っていると…
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「戦争と人間 完結編」 銃撃、強姦…理不尽な日本軍の蛮行
1928年の張作霖爆殺事件から満州事変、日中戦争を描く3部作の完結編。 37年7月、盧溝橋の武力衝突で日中戦争が勃発。日本軍は南京に攻め込み、捕虜と民間人を殺害した。そんな中、国内では伍代産…
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「濹東綺譚」 若い女への情愛に揺れる…“大人のメルヘン”
津川雅彦の死去で真っ先に思い出したのが本作。永井荷風の同名小説をドラマ化した。 昭和初期の東京。作家の荷風(津川)は若い愛人を囲い、バーの女給に手を出して脅されるなど放蕩をくり返していた。そ…
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ボクシング連盟に「ロッキー」の崇高な精神を学んで欲しい
日本ボクシング連盟の内紛を見ていたら、本作を思い出した。日本公開から41年になる。早いものだ。 ストーリーはご存じのとおり。三流ボクサーのロッキー(シルベスター・スタローン)は高利貸の取り立…
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「昼顔」の名をもらい…娼婦を楽しむ美しい貴婦人の二面性
C・ドヌーブが24歳の全裸をシースルーで披露した快作。ブニュエル作品にしては分かりやすい。先日BD&DVDが発売された。 セブリーヌ(ドヌーブ)は医師の妻として上流階級に身を置く美女。不感症…
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「さよなら子供たち」ナチス占領下のフランスの実情を描く
ルイ・マル監督が自ら脚本を書いた自伝的作品。第44回ベネチア国際映画祭金獅子賞などを受賞。先週、DVDとBDが発売された。 1944年、ナチス・ドイツに占領されたフランス。クリスマス休暇を終…
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「しとやかな獣」ネコババ、妾、ヤリマンが描く倫理観崩壊
新藤兼人の脚本を「洲崎パラダイス赤信号」「幕末太陽傳」の川島雄三監督が映画化したブラックコメディーの傑作。 10月の蒸し暑い日、マンモス団地に住む前田時造(伊藤雄之助)は息子の実(川畑愛光)…
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「日本の黒い夏-冤罪」 松本サリン事件の冤罪描く問題作
オウム真理教の幹部7人が死刑を執行された。本作は彼らが起こした松本サリン事件(1994年)で犯人扱いされた河野義行氏をモデルに冤罪の恐怖を描いた問題作。 95年6月、高校で放送部に所属するエ…
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「小林多喜二」特別高等警察に虐殺されたプロレタリア作家
特別高等警察(特高)に虐殺されたプロレタリア作家・小林多喜二の生涯を描く。先週、DVDが発売された。 貧農の家に生まれた多喜二は伯父の厚意で小樽高等商業(現・小樽商科大)に進学して拓銀に就職…
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「天狗党」 日本人はだまされやすい民族であることを痛感
幕末に暴れ回った水戸天狗党と彼らに関わった男の生きざまを描く。先週、KADOKAWAからDVDが発売された。 常陸国の百姓・仙太郎(仲代達矢)は租税の減免を願い出たことで代官の怒りを買い、百…
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「セルピコ」 腐敗警官どもに1人で立ち向かい孤立していく
「十二人の怒れる男」「未知への飛行」などの社会派監督、S・ルメットがメガホンを取った問題作。今月29日にKADOKAWAからBDが発売される。 ニューヨーク市警の刑事セルピコ(アル・パチーノ)…
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戦争映画「フューリー」 激闘するシャーマンvsタイガーI型
戦争映画ファンには戦車が出てくると大興奮する人がいる。本作はそんなマニアにオススメ。6月22日(金)・23日(土)の23時から飯田橋ギンレイホールでオールナイト上映される。「戦争のはらわた」(デジタ…
