「尼僧ヨアンナ」尼僧院の悪魔払いで描く愛欲と狂気の相克

公開日: 更新日:

1961年 イェジー・カヴァレロヴィッチ監督

 カンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞。尼僧院での悪魔払いを描いた。

 17世紀のポーランドの寒村にスリン神父(ミェチスワフ・ヴォイト)が到着した。彼の使命はこの地の尼僧長を務めるヨアンナ(ルツィナ・ヴィンニツカ)にとりついた悪魔を退けること。宿屋の人々によると、前任の神父は火刑に処せられ、「豚のように丸焼きにされた」という。

 スリン神父はヨアンナと面会して神の道を説くが、彼女は悪魔の言動に豹変して挑発する。尼僧全員を集めて悪魔払いをすると、多くが聖水から逃げ惑う。スリン神父は己の肉体を鞭打ち、ヨアンナから悪魔を追い出そうとしながら、彼女の妖艶さに魅せられるのだった……。

 白黒映像の荒涼たる土地に尼僧院と宿屋がぽつんと立ち、聖域と俗世を分離するように火刑柱が残されている。悪魔を内在したヨアンナの動きは上質な前衛舞踏さながら。全編が緻密に構成された作品だ。

 ポーランド版「エクソシスト」と呼ばれるが、派手な悪魔は登場しない。カヴァレロヴィッチ監督が「人間の本性を描いた映画にしたかった」「登場人物たちにとりつく悪魔は、彼らの抑圧された愛が表面に現れたもの」と解説したように、人間の性愛が中心テーマ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「コンサル」名乗るシニアは「ほぼ無職」 それでも「自分は現役ホワイトカラー」の仮面を外せないオジさんたちの終わりなき戦い

  2. 2

    森保Jの悲劇的敗戦を分析…本気のブラジルに「コマ不足」「勝てるチャンスなし」「延長なら複数失点」

  3. 3

    橋本環奈に近日ゴールイン説が再浮上…破局説も流れた中川大志と表参道デート&高級パジャマ

  4. 4

    高市首相は筋金入りの嘘つき! 経歴詐称疑惑で米下院関係者が決定的証言「インターンだった」SNSで猛拡散

  5. 5

    森保監督は“海外流出”、佐野海舟・鈴木彩艶・上田綺世はビッグクラブ移籍か…W杯32強敗退でもバラ色の人生が

  1. 6

    「テレ東音楽祭」で歌詞が飛んだ「TRF」YU-KIに視聴者ビックリ! SAMの助け舟で何とか“復旧”のヒヤリ

  2. 7

    高市首相「小渕優子の乱」に真っ青! インナー辞任で4月消費税減税に暗雲…安易な“争点潰し”の大きすぎる代償

  3. 8

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  4. 9

    杉並区長選は初日から勝負あり! “モノトーン”毛嫌いされた自民陣営がリベラル現職にWスコア惨敗の哀れ

  5. 10

    阪神・高橋遥人79年ぶり10連勝も…完全試合右腕が提言「配球を捕手任せにするな」