代表作「ラストエンペラー」でB・ベルトルッチ監督を悼む

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1987年、ベルナルド・ベルトルッチ監督

 先週死去したB・ベルトルッチ監督の代表作。アカデミー賞の9部門を受賞した。

 ストーリーの解説は必要ないだろう。「清朝最後の皇帝」と呼ばれる愛新覚羅溥儀(ジョン・ローン)が2歳で皇帝に即位し、18歳で城を追われたのち日本の関東軍のおいしい話に乗って満州国皇帝として帝位に返り咲く話。戦後、政治犯として取り調べを受ける映像に過去の繁栄を織り交ぜて物語は進む。東洋文化の好きな欧米人が喜ぶ紫禁城の絢爛豪華さ、アジア型封建制、1910~50年代の中国の政変などを約3時間に濃縮した有為転変の物語だ。

 前半の幼帝時代はわれわれ東洋人にとって冗長な感があるが、関東軍が溥儀を誘惑するあたりから面白さが増してくる。32年に建国された満州国が溥儀をみこしにのせた傀儡(かいらい)国家だったことはご存じのとおり。関東軍は中国制圧のために溥儀を利用したのだが、溥儀は周囲の反対を無視して即位し、日本の天皇と対等な立場を得ようとした。彼は権力に固執するあまり日本政府と関東軍の陰湿な正体を見抜けなかった。関東軍と溥儀は同床異夢のいびつな野望によって破滅したことになる。

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