長寿研究のいまを知る 実践編
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健康は腸内の多様性に左右される…ヒトは細菌で生かされている
いまの日本は1年間で160万人が亡くなる多死社会。身近な人との永久の別れに接するたびに「人は独りで生まれ、独りで生きて、独りで死ぬ」というフレーズが身に染みる。 しかし、生物学的にはこれは正…
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「第二の脳」腸内マイクロバイオータは3歳までに形成される
生物を共通の特徴ごとにグループ分けしたものに「生物分類の階級」がある。進化の過程を理解するためで、広い範囲から徐々に狭い範囲に絞られていく。ヒトは、真核生物[ドメイン]、動物[界]、脊椎動物亜[門]…
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腸内細菌の最大の敵は「薬」…不必要な多剤併用を避けて腸を整える
ヒトの腸内には約1000種類、約100兆個の細菌がコミュニティーを形成。そこから産出される物質は腸の環境を整えるだけでなく、血液や神経を介して脳、肺、肝臓、腎臓、筋肉を動かし、全身の健康状態に関与し…
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腸はなぜ「第二の脳」と呼ばれるのか…体をうまく機能させるには腸を整えることが不可欠
消化器に問題がないのに、慢性的な腹痛、便秘、下痢を繰り返す過敏性腸症候群(IBS)を患っている人は多い。以前はストレスが原因といわれ「忙しい生活の見直しを」とアドバイスされたが、いまは「腸内細菌叢」…
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老化細胞除去治療「セノリティクス」とは何か?
高血圧、糖尿病、脂質異常症……。生活習慣病の治療というと、薬を飲んだり、食事や運動、睡眠など生活習慣の改善を目指すイメージがある。しかし、いまはそれに加えて老化細胞を取り除く新たな治療法が注目されて…
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認知症は“特別な薬”を待つより生活習慣病の治療が先決
認知症リスクは近年、「高血圧」「糖尿病」「睡眠時無呼吸症候群」などや「帯状疱疹ワクチン」接種により低下することが報告されている。 例えば世界的権威のある医学雑誌「ランセット」系の神経専門医学…
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「脳の陰の支配者」グリア細胞はアルツハイマー病にどう関わっているのか
患者数が急増するアルツハイマー病(AD)は、脳内で神経細胞の内外に異常なタンパク質が凝集する神経変性疾患だ。しかし近年、この凝集が見られても認知症症状が出ない例が報告されており、「凝集は病気の結果で…
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HIVは脳を攻撃…なぜエイズウイルスはグリア細胞に感染するのか
かつては死ぬ病気とされたHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症。感染すると長い間をかけて免疫を低下させ、指定されている23の疾患のいずれかを発症するとエイズと認定される。いまは治療薬の進歩により、適切…
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「グリア細胞」の機能低下や異常が引き起こす神経変性疾患
脳の「主役」は電気信号が往来する神経細胞(ニューロン)であって、電気が通らないグリア細胞は「ニューロンの脇役」あるいは「接着剤」──。かつてはそう考えられていた。実際、グリアとはギリシャ語で「接着剤…
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脳の陰の主役「グリア細胞」はどう老化するのか…ニューロンを支配?
成人の脳の重量は男性で平均1300~1400グラム、女性で1200~1300グラムほどで、90歳では60歳時の5~7%軽くなる。萎縮の程度は人それぞれだが、部位により差がある。計画の立案や実行、意思…
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脳はどのように老廃物を排出しているのか…グリア細胞と睡眠がカギ
良質で適切な時間の睡眠は頭をスッキリさせ、仕事や遊びのパフォーマンスをアップさせる。なぜか。ハーバード大学医学部&ソルボンヌ大学医学部客員教授の根来秀行医師に聞いた。 私たちの体は毛細血管と…
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日光は“クスリ”…エネルギー工場のミトコンドリアを元気にする
太陽光には生物的に影響を与える周波帯の電磁波がある。紫外線はその代表で、しわやたるみの原因となる紫外線A波(UV-A)と日焼けの原因となる紫外線B波(UV-B)の2通りある。 UV-Aは年間…
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脳のアイドリングを一時停止…「マインドフルネスウオーキング」のススメ
人には、「寝ているとき」や「ボーッとしたとき」などに働く脳のシステムがある。「デフォルトモードネットワーク(DMN)」と呼ばれるもので、脳の「内側前頭前野」「後帯状皮質」「楔前部」「下頭頂小葉」など…
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ウオーキングがもたらす心理的健康…ストレスを解消しうつにも効く
ウオーキングはストレスを解消し、気持ちを前向きにして精神を安定させる効果がある。運動による刺激が神経伝達物質の発現と作用を促すからだ。 例えばセロトニンは神経系に抑止的に働き、過剰な興奮や衝…
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「やせられる」は間違い…ウオーキングによる「健康」と「中年太り」のメカニズム
健康のため散歩する中年太りの中高年は多い。なぜ散歩なのか? 「やせたいから」を理由にあげる人もいるが、ウオーキングではまずやせない。ウオーキングによる消費カロリーが少ないからだ。 例えば1時…
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「運動」が健康長寿につながるのはなぜ? テロメアを守る働きあり
健康長寿を得るには「運動」も欠かせない。例えば全身の糖化、酸化、炎症は老化を促すことが知られている。運動はこれらを防ぎ、テロメアを守る働きがあるという。 テロメアとは靴ひもの先端の“キャップ…
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理想の睡眠時間といわれる「7時間」の良質な睡眠はなぜ必要か?
人は1日の3分の1は寝ていて活動しているのは残り3分の2に過ぎない。起きている時間にいくら体に気を配っても、睡眠中が不健康なら健康長寿はかなわない。だからこそ、長寿研究においても質の高い必要十分な睡…
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糖質とどう向き合えばいいのか…「無意識での減少」を目指す
肥満は老化を進め、寿命を縮める。動脈硬化を招き、心血管疾患や高血圧のほか、糖尿病、腎臓病、睡眠障害、大腸をはじめとしたがんなどに関係する。 肥満の主因に糖質の過剰摂取がある。人はなぜ糖質を取…
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エネルギーを作る「ミトコンドリア」を維持するには何をすればいいのか
「ミトコンドリア」は細胞内で生命維持に必要なATPと呼ばれるエネルギー物質を作り出す。しかし、役割はそれだけじゃない。その過程で代謝水を作り、細胞の内外をその水で浸すことで多くの物質を溶け込ませて代謝…
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高齢者はなぜ意識して「水」を飲む必要があるのか?
高齢になると「意識して水を飲む」よう勧められる。なぜか? 体内水分量の割合が加齢と共に低下するからだ。子供は体内の70%が水分で、成人は60%、高齢者は50%となる。 体内水分の約3分の2は…