認知症は“特別な薬”を待つより生活習慣病の治療が先決
認知症リスクは近年、「高血圧」「糖尿病」「睡眠時無呼吸症候群」などや「帯状疱疹ワクチン」接種により低下することが報告されている。
例えば世界的権威のある医学雑誌「ランセット」系の神経専門医学誌に2020年1月に掲載された、「降圧薬と認知症およびアルツハイマー病の発症リスク」だ。6つの前向き研究(3万1090例)を分析したこの論文によると、降圧薬を服用している高血圧患者は、飲んでいない人に比べて認知症発症リスクが12%、アルツハイマーリスクが16%低下したという。
米国ミシガン大学の研究チームが2021年に米国医学雑誌「スリープ」に発表した「高齢者における閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療と認知症リスク」によると、気道陽圧療法で治療した場合、認知症リスクは22%低下したと報告している。昨年8月に英国医師会雑誌(BMJ)に掲載された韓国の研究では、年齢40~69歳の2型糖尿病治療においてSGLT2阻害薬と呼ばれる糖尿病治療薬を服用している患者は、従来型の薬を飲んでいる患者と比べて認知症の発症リスクが低かったという。
また、帯状疱疹ワクチン接種が認知症の発症を抑える可能性があることも報告されている。米国スタンフォード大学の研究者らが英国ウェールズで調べた論文によると、帯状疱疹ワクチンを接種した高齢者はしない高齢者に比べて認知症の発症リスクが20%低かった。今年4月2日の総合科学誌「ネイチャー」に報告している。ハーバード大学医学部&ソルボンヌ大学医学部客員教授の根来秀行医師が言う。