脳の陰の主役「グリア細胞」はどう老化するのか…ニューロンを支配?
成人の脳の重量は男性で平均1300~1400グラム、女性で1200~1300グラムほどで、90歳では60歳時の5~7%軽くなる。萎縮の程度は人それぞれだが、部位により差がある。計画の立案や実行、意思決定を担う大脳皮質の前頭葉は比較的早く萎縮するといわれている。
一般的に脳の神経細胞(ニューロン)は1日約10万個脱落するといわれる。そんなに減って大丈夫か? と思う人もいるかもしれない。しかし、人間の脳には140億個のニューロンがある。すべて消失するには400年以上かかる計算なので、心配ない。
では、脳はどう老化しニューロンをサポートし、脳の陰の主役とされるグリア細胞はどう衰えるのか? ハーバード大学医学部&ソルボンヌ大学医学部客員教授の根来秀行医師に聞いた。
「加齢により、ニューロンは徐々に死んでいきます。高齢者は『海馬』(短期記憶を長期記憶に変換したり、場所や空間の情報処理を行う)と『黒質』(脳の奥底の黒っぽく見える部分。ドーパミンを作り、動きや感情に関わる)のニューロンの消失が目立ちます。これと並行して、記憶力が低下します」