腸内細菌の最大の敵は「薬」…不必要な多剤併用を避けて腸を整える
ヒトの腸内には約1000種類、約100兆個の細菌がコミュニティーを形成。そこから産出される物質は腸の環境を整えるだけでなく、血液や神経を介して脳、肺、肝臓、腎臓、筋肉を動かし、全身の健康状態に関与している。腸が「第二の脳」と呼ばれるゆえんだ。そのカギを握るのが腸内マイクロバイオータ(腸内細菌叢)。
それほどまでに重要な腸内マイクロバイオータはヒトが受けるさまざまな刺激に応じてその組成が大きく変化する。その代表的刺激は薬、病気、食事、運動だ。
では、このなかで最も強い影響を与えるのは何か? その回答となる研究がある。東京医科大学が、国立国際医療センター、ドイツ欧州研究所と共同研究を行い、大規模な日本人の腸内マイクロバイオータデータベースを構築し、データ解析した研究だ。「Gastroenterology」誌の2022年7月1日オンライン版に報告している。
研究は2015年1月からスタートした日本の4D(病気、薬、食事、日常生活)マイクロバイオームプロジェクトに参加した4198人の糞便サンプルをショットガンメタゲノム解析(サンプルのDNAの断片を一気に読み取る機械を使う網羅的解析法)し、腸内マイクロバイオータの組成への影響を評価したもの。