老化細胞除去治療「セノリティクス」とは何か?
高血圧、糖尿病、脂質異常症……。生活習慣病の治療というと、薬を飲んだり、食事や運動、睡眠など生活習慣の改善を目指すイメージがある。しかし、いまはそれに加えて老化細胞を取り除く新たな治療法が注目されている。
生活習慣病は、過食や運動不足、過度の飲酒、睡眠不足など不健康な生活習慣によるストレスで細胞レベルでの老化が進み、老化細胞が体内に蓄積することで発症したり、進行する病気だ。
ハーバード大学医学部&ソルボンヌ大学医学部客員教授の根来秀行医師が言う。
「老化細胞とは、分裂を止めた細胞のことです。細胞は紫外線や微生物などでDNAがダメージを受けたり、『寿命の回数券』と呼ばれるテロメアの短縮など、細胞が危ない状態に変化すると、自ら分裂を止めます。これを細胞老化といいます。がん化しそうな細胞を増やさないための防御システムです」
ただし、分裂を止めた老化細胞が体内に居座り続けると、老化関連分泌表現因子(SASP因子)と呼ばれるサイトカインなどにより慢性炎症を起こして周囲の細胞の機能を低下させる。