「腸」と「筋肉」の関係…アスリートや高齢者にはどんな特徴があるのか
「年を取ると筋肉が落ちるのは使わないから」と考えて運動に励む高齢者もいるが、必ずしも正しくない。
ハーバード大学医学部&ソルボンヌ大学医学部客員教授の根来秀行医師が言う。
「年齢を重ねると、筋肉を構成する筋線維の数が減るだけでなく、筋線維自体も細くなってしまいます。これが『サルコペニア』と呼ばれる状態で、70歳ごろには20歳のころと比べて筋肉量が30%も減ることがわかっています。もちろん、筋肉を動かさないと筋細胞内のカルシウム濃度がさらに低下して筋肉を減らすスイッチが入ることも加齢で筋肉が減る原因ですが、それだけではありません」
例えばホルモンの減少も関係している。筋肉を維持するためのホルモンである成長ホルモンやテストステロンなどの分泌が減り、神経が筋肉へ伝えるための信号も弱くなる。
これが筋肉の動きや再生力を低下させる原因となる。
高齢になると食事量が減ったり、消化吸収力が落ちたりして、筋肉の材料になるタンパク質やビタミンDが不足しがちとなる。これも筋肉が減る原因のひとつだ。