西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった
「広池球団本部長から『最後の最後まで悩んだ』と聞いて、ありがたいと思った。行くからにはワールドチャンピオンを目指す」
10日、晴れやかな表情でこう話したのが、西武のエース右腕・今井達也(27)だ。
同日、所沢市の球団事務所で球団と面談を行い、プロ9年目を終えた今オフのポスティングによるメジャー挑戦を容認された。代理人は敏腕として知られるスコット・ボラス氏が務める。
西武はすでに同じ先発投手の高橋光成(28)の米球界挑戦を認めている。2020年、日本ハムが有原(現ソフトバンク)と西川(現ヤクルト)のポスティングを容認したものの、有原のみレンジャーズと契約した。過去に、2人同時にポスティングでメジャー移籍したケースは皆無。西武は異例の決断をしたわけだ。
昨季どん底の最下位に沈んだ西武は、もっかチーム再建の真っ最中。23年から3年連続2ケタ勝利をマークした今井は今季、10勝5敗、178奪三振、防御率1.92。無四球完投3回と3完封はいずれもリーグトップだった。6月17日のDeNA戦では、球団記録を更新する球界歴代5位タイの1試合17奪三振を記録するなど、チームに欠かせない存在。広池球団本部長は「チーム強化を預かる者として難しい判断だった」と話したが、今井が本当に必要ならポスティングを認めなければいいだけの話だ。
理由のひとつに莫大な譲渡金の存在がある。今季、ワールドシリーズを制覇したドジャースは大谷翔平、山本由伸が投打の軸として活躍。日本人選手への評価と期待値が上がっており、米スポーツ専門局「ESPN」は今オフのFAランキングトップ50で今井を5位に挙げ、契約は6年総額1億3500万ドル(約208億円)と予想した。
米メディア「ジ・アスレチック」に至っては、8年総額1億9000万ドル(約292億円)。仮にこの額で契約となれば、西武への譲渡金は約47億円。オリックスに約72億円をもたらした山本には及ばないものの、18年オフに西武からマリナーズに移籍した菊池雄星(約11億円)の実に4倍以上だ。


















