36年で165倍に…日本で毎日10件以上成立している「M&A」の実態とは
統計によれば、2021年の日本のM&Aは年間約4300件。1985年の統計開始時は年間約260件だったため、36 年間で165倍に増えている。平均すると、日本全国で毎日10件以上のM&Aが成立していることになる。「統計の数字に表れない小規模な事業売却などはこのほかにもあるので、実際の件数はもっと多いと考えられる」と語るのは『ローカルM&A』の著者であり、株式会社絆コーポレーション代表取締役社長の小川潤也氏である。(以下本文から抜粋しています)
■再生型M&Aとはなにか?
「再生型M&A」とは事業再生を目的として実行するM&Aです。借入金が過大で、収益返済が滞りはじめた局面で、事業が存続している間に、金融機関による支援とその金融機関が納得する条件でスポンサーにお金を出してもらいながら事業を引き継いでもらうものです。「再生型M&A」のポイントは2つです。債権者、主に金融機関による支援の理解が得られるかと倒産の方法、つまり私的整理か法的整理かの選択です。
私的整理とは裁判所がかかわらずに行われる廃業の手続きで、清算型と再生型があります。「再生型M&A」ではもちろん私的整理の再生型であり、近年「私的整理に関するガイドライン」(以下「私的整理ガイドライン」)が策定され、その基準に基づいて金融機関の債権を調整する私的整理が広まってきました。
この私的整理ガイドラインによるスキームのほか、中小企業活性化協議会によるもの、事業再生ADR(裁判外紛争解決手続の利用促進)に関する法律:ADR法によるもの、REVIC(地域経済活性化支援機構)によるもの、特定調停によるものがあります。