ついに国民年金65歳まで納付案が…政府がヒタ隠す「年金積立金250兆円」という都合の悪い真実

公開日: 更新日:

 おおむね5年に1度行われる厚労省の「年金財政検証」。2019年の検証では約30年後の標準的ケースの給付水準が2割減ると公表されているが、今回は国民年金の保険料納付期間を5年延長する案(65歳まで)が検討される。契約時と支払い時の約束事が違う。民間保険会社なら訴えられるレベルだ。

  ◇  ◇  ◇

 国民年金の納付期間延長の狙いは「給付額を増やす」ためと説明されている。

 現在の保険料は月1万6980円。5年分の負担額は101万8800円となる。これに対し満額の受給額は月約6万8000円。納付期間が40年から45年に1.125倍に増えるのなら、受給額もその倍率の月7万6500円(8500円増)にならなければおかしい。国民年金は、自営業者や20歳以上の学生のほか、会社を定年退職した人も加入する可能性があるので他人事ではない。

「国民年金の保険料1万6980円は定額負担ですので、厚生年金の最低負担額8052円(折半額)の2倍ほど。会社員でも60歳を越えると雇用が不安定になる人もいますし、1万6980円の負担は心理的な不安感になるでしょう。もちろん5年長く納付した分、受給額も増えるのなら納得できますが、今の年金制度上では難しいと思われます」(特定社会保険労務士・稲毛由佳氏)

 突然のルール変更。タレントのパトリック・ハーラン氏は情報番組で「アメリカだったら大きな反発、フランスだったら暴動が起きるくらいの条件だと思うんです。ずっと払っていた時の約束ともらう時の約束が違うじゃないかと」と疑問視。「皆さん素直なのはいいですけど、もう少し声を上げていいと思いますよ」と続けていた。

 実際、フランスでは昨年、受給開始年齢を62歳から64歳に引き上げる政府方針に対し各地でデモや暴動が起き、ボルドー市庁舎の玄関が放火される事件まで起きた。結局、マクロン大統領は批判を押し切って64歳支給に引き上げたが、支持率は20%台にまで急降下している。さすがに放火はいただけないが、日本人は少しおとなしすぎるのではないか。

■「しょうがない」という声も多い

「しょうがないよねという声は確かに多いですね。国に『少子高齢化』『子や孫世代の負担を減らすため』だと言われれば、余計に反対しづらくなります」(稲毛氏)

 しかしこれ、見事に政府の術中にハマっているのではないか。社会保障審議会(年金数理部会)の資料によれば、これまでの年金積立金がなかなかゴッツイ金額に膨らんでいるのだ。

■「財源が足りない」という国のウソに騙されるな

「22年度の年金収支状況は、収入総額が54.6兆円。内訳は保険料収入40.7兆円、公費負担13.4兆円などです。対して高齢者にお支払いしている年金給付費は53.4兆円。差し引き0.9兆円のプラスでした。さらにこの年の運用益は3.5兆円のプラス。これらの結果、年金積立金は前年度に比べ4.4兆円増の250.5兆円にまで膨らんでいます」(ジャーナリスト・中森勇人氏)

 何かというと、保険料を払ってくれる若者が減っている、受給者が増えたと言われるが、今の高齢者や現役世代がコツコツ貯めた積立金が250兆円もある。「そこから補充すればよいのでは」という意見が出てくるのももっともだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    東大出身の小林政調会長は日本史を学ぶべき「2600年以上続く男系継承」は歴史なのか神話なのか…皇室典範改正で浮かんだ疑問

  2. 2

    Netflixで話題「古畑任三郎」 伝説の神回《動機の鑑定》に描かれる古美術界のリアリティーに迫る

  3. 3

    今も続く「皇室典範」は出来の悪い法律…男の側に不妊の原因を求める発想がなかった時代の産物だ

  4. 4

    高市首相が今上陛下を「こんじょうへいか」と呼んだのは「不敬」なのか?

  5. 5

    松下洸平「電撃婚」のお相手も?「プロ彼女」の“日陰”すぎるリアル

  1. 6

    司法試験へのパソコン導入で「変わること」「変わらないこと」

  2. 7

    オランダ訪問の晩餐会での天皇のスピーチと雅子皇后…"旧宮家"に求められる「皇室外交」と担い手の難しさ

  3. 8

    小室圭氏実家はポリスボックスで過去に物議…旧宮家の養子案「皇族になれる資格を持つ人間」が増えたら危惧されること

  4. 9

    天皇皇后が訪問したオランダ・ベルギーの次期王位は「女王」に…欧州では男系優位の「サリカ法典」は過去のもの

  5. 10

    これが日本の「中流」サラリーマン転落の軌跡 年金の「繰り上げ受給」を選ぶのは、お金と仕事がない人

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    東大出身の小林政調会長は日本史を学ぶべき「2600年以上続く男系継承」は歴史なのか神話なのか…皇室典範改正で浮かんだ疑問

  2. 2

    松尾雄治さん(1)ゴルフ場で意識を失う…「気が付いたら病院のベッドでした」

  3. 3

    国民も気づき始めた皇室典範改正のおかしさ 「愛子天皇」潰しに抗議する市民デモが国会を取り囲む?

  4. 4

    麻生太郎が「皇室典範」改正を急ぐ理由は…“日本会議の30年の集い”に間に合わせたいから

  5. 5

    今も続く「皇室典範」は出来の悪い法律…男の側に不妊の原因を求める発想がなかった時代の産物だ

  1. 6

    不振続く和久田麻由子「news LOG」 M!LK曽野舜太の出演は「毒まんじゅう」か「良薬」か

  2. 7

    高市首相は今の天皇や上皇が嫌で嫌でならない 保守派のホンネは天皇制「崇拝」ではなく「衰退」

  3. 8

    矢地祐介との破局報道から1年超…川口春奈「お誘いもない」プライベートに「庶民と変わらない」と共感殺到

  4. 9

    麻生副総裁への飛び火を防ぐため? 福岡県議会の議長ポスト金銭授受疑惑に自民党本部の後手

  5. 10

    新垣結衣は芸能界から引退するのか? 相次ぐCM降板と夫・星野源の紅白連続出場ストップの余波