大王製紙(下)脱創業家を掲げた佐光氏と中興の祖の“壮絶バトル”の行方
カジノで散財し尽くした井川意高の父親で、大王製紙の中興の祖と呼ばれた高雄は2019年9月19日、心不全のため死去した。享年82。
大王製紙は新聞用紙、段ボール原紙など産業用紙のメーカーだったが、創業家の2代目高雄は家庭紙に進出。ティッシュペーパーのエリエールは、今では大王の代名詞となった。
父の死後、書斎から走り書きが見つかった。井川家を大王製紙から排除した佐光正義について、父は次のようなメモを残した。
「佐光とは共死(注:一緒に死ぬの意味だろう)しても構わない」
カジノ資金を使い込んで失脚した意高の後任の社長になった佐光は創業家一族と距離を置くことを決意した。高雄にとってみれば、社長といえども使用人にすぎない。「引き立ててやったのに」、創業家支配からの脱却を打ち出したのだから、全面衝突した。
「熔ける 再び そして会社も失った」は佐光が一族間の離反工作を働いた、と書いている。