大王製紙(上)佐光会長はなぜ、株主総会直前に取締役候補を辞退したのか
大王製紙は6月29日、愛媛県四国中央市の四国本社で定時株主総会を開催した。総会直前、佐光正義会長を再任する議案を取り下げた。「株主からの信任が得られない」と判断し、佐光会長から候補を辞退する申し入れがあったという。再任案を総会直前に撤回するという異例の展開となった。
佐光氏を除いた11人の取締役選任を諮った。若林頼房社長が99.61%の賛成を得たのをはじめ、10人の取締役は99%以上と満票に近い支持を得た。阿達敏洋副社長だけが74.07%と低かった。佐光氏は取締役から外れ、会長職も退き、名誉顧問に就いた。
佐光氏は2011年、社長に就任し、21年4月、会長になった。11年に発覚した創業家出身の井川意高前会長によるカジノに使うための巨額借り入れ事件を受け、創業家の支配からの脱却を掲げ、社内風土の改革を進めてきた。
■筆頭株主はこれまで反対票
一方で、大王株式の24.8%(22年3月期末時点)を握る筆頭株主の北越紀州製紙(現・北越コーポレーション)と対立した。北越は大王の創業家である井川家から株を譲り受け、筆頭株主となった。