富樫倫太郎(作家)

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9月×日 コロナ禍の毎日で、楽しみな話題が大谷翔平君と藤井聡太君の活躍くらいというのは淋しい。テレワークが増え、腰痛が悪化したり、ストレスが溜まっている人も周りに増えている。

 元々が出不精で、乗馬と買い物にしか出かけない生活だったから、個人的には生活に大きな変化はない。アウトドアで、馬と一緒にいるだけなので感染リスクもない。乗馬をすると姿勢がよくなるのは本当である。人間の姿勢が悪いと馬が動かないから、否応なしに背筋を伸ばさざるを得ないし、体幹もよくなる。運動量も多い。アニャ・ベラン著「馬場馬術の美しい騎座」(緑書房 6600円)は、馬に対する愛情に溢れたすぐれた教科書だ。カラー写真が豊富で、馬の姿も人の姿も美しく、思わず溜息が洩れてしまう。

 コロナで景気が悪くなっているのを肌身で感じる。還暦の身としては、老後2千万円問題は切実だ。つい副収入で楽に儲けたいなどと不埒なことを考えてしまう。かぶ1000著「貯金40万円が株式投資で4億円」(ダイヤモンド社 1650円)。中学2年生から株式投資を始め、30年で4億円に到達したというのだから、すごい人だ。

 ブログも読ませてもらっているが、どの銘柄に投資しているかまで、きちんと公開しているのが驚きである。同じ銘柄を買えば儲かるという単純な話でもないだろうけどね。ブログや本を読むと、誠実な人なのだろうとわかる。文は人なり、だ。わたしも“億り人”を目指しているが、道は険しく、果てしなく遠い。去年のコロナショックでは○百万円が消えてしまった。アホだと思う。

 新聞で1枚の写真を見て、思わず息を止めて見とれてしまった。リト@葉っぱ切り絵著「いつでも君のそばにいる」(講談社 1430円)。葉っぱに絵を描き、それをナイフで切っていく。そんな単純作業で、1枚の葉っぱの上にドラマが生まれ、夢のような世界ができあがる。どのページを開いても、時間を忘れて見入ってしまい、心がほっこりと温まる。簡単にできそうなので、思わず自分でもやってみたものの、ナイフで指を切っただけだった。やはり、アホだと思う。

【連載】週間読書日記

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