描き換えられ盗まれ22年後に戻った絵画の謎│「クリムトの盗まれた女」カミーユ・ド・ペレッティ著 田中裕子訳
「クリムトの盗まれた女」カミーユ・ド・ペレッティ著 田中裕子訳
クリムトの描いた「若い婦人の肖像」は、1916年にある人物に購入されて以降行方不明になっていた。25年にはイタリアの美術館がクリムトの「婦人の肖像」を購入したが、96年この作品が所在不明の「若い婦人の肖像」を大幅に加筆修正したものであることが判明。しかも、97年にはこの作品が何者かによって盗まれ、2019年になって美術館敷地内で作品が無事発見されたという不可解な経緯をたどっている。なぜひとつの作品が描き換えられた上に盗まれ、22年もの長い時を経て発見されたのか。想像力を駆使してこの謎をひもといてみせたのが、この小説だ。
物語の主軸となるのは、ニューヨークの靴磨きをしているイジドール、ウィーン郊外在住シングルマザーのマルタ、テキサス州在住の娼婦ミシェルと娘のパールの4人だ。一見クリムトとは無関係な登場人物のそれぞれの人生の中で抱いた夢や悲劇が交錯し、大きな物語となって謎解きのピースになっていく。原作は2024年にフランスで発表された後大人気となって23万部を突破し、数多くの賞を受賞。20カ国で翻訳が決定されている。
(講談社 2750円)



















