巨人独走Vも日本Sへ長い空白…「90年に酷似」と数々の証言

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西武に屈辱の4連敗

 コロナ禍のセ・リーグは巨人の独壇場だった。

 9月15日に優勝マジック「38」が点灯。開幕から72試合目での点灯はセの最短記録だった。最後こそ足踏みしたものの、10月30日に危なげなくリーグ連覇を達成した。

 今季セはクライマックスシリーズ(CS)を行わないため、21日の日本シリーズ開幕へ向け、消化試合を淡々とこなした。

「今年の巨人はどこか1990年に似ています」

 当時、一軍投手コーチを務めていた中村稔氏がこう振り返る。

あの年、シーズンは独走。しかし、リーグ優勝(9月8日)を決めてから、日本シリーズ(第1戦は10月20日)まで40日くらい間隔が空いて西武に4連敗を食らいました。前年のシリーズは近鉄相手に3連敗から4連勝。奇跡の逆転日本一になったので、悔しいやら寂しいやら情けないやら……。天国から地獄という感じでした」

■データがありすぎて頭デッカチに

 今年はリーグV決定から日本シリーズまで21日間、シーズン最終戦から6日間の空白期間がある。

 藤田元司監督が率いた90年は、88勝42敗で勝率は驚異の.677。2位広島に22ゲームもの大差をつけて、リーグ連覇を果たした。最大の勝因は盤石の投手陣だった。

 2年連続20勝で最多勝と防御率の2冠に輝いたエース斎藤雅樹を筆頭に、桑田真澄宮本和知が14勝、木田優夫が12勝、香田勲男が11勝で、2ケタ勝利がなんと5人。さらに槙原寛己も9勝を挙げ、チームの88勝のうち、80勝をこの6投手で挙げるという圧巻の先発陣だった。

 前出の中村氏が続ける。

「実戦感覚や緊張感の維持……。空いた40日間の過ごし方は難しかった。地元・よみうりランドで1週間ほど合宿を張りましたが、いつもの練習場だし、紅白戦をやったとしてもしょせんは味方が相手。厳しい戦いはできません。合宿中の球団から出される昼食が、パンと牛乳の軽食で済ませろとなって、各自が自分で弁当を持参したり……。締まらない雰囲気だったのを思い出します。シーズンは4月から首位で危なげなかったが、投手陣を預かる身として不安がないわけではなかった。前年から2年連続20勝とフル回転していた大黒柱の斎藤に明らかに疲労の色が出ていた。相手に研究されていることも踏まえ、第1戦は斎藤ではなく、終盤に調子を上げてきた槙原に任せた。しかし、初戦の初回にデストラーデに3ランを打たれ、出はなをくじかれました」

 巨人には長い調整期間があり、徹底的にデータ分析を行ったという。

「データが多く集まっていて、西武打線を徹底的に分析しました。『あそこは投げちゃダメだ』といったミーティングはかなりやりましたね。ただ、時間とデータがあり過ぎて、頭デッカチになってしまったのかもしれません」(中村氏)

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