萩本欽一〈47〉気仙沼ちゃんは民宿4軒経営の大女将に 説教してテレビで夫を募集させた甲斐があった
坂上二郎さんの「素」のすごさ
萩本「そうです。素といえば二郎さん。一番の秀逸な名人はやっぱりね。一番素に近いってのが名人ですから」
増田「二郎さんもじゃあ、あれは素なんですか」
萩本「二郎さんも素でしょう。あんな俺のムチャぶりを何でも返すじゃん。汗をかきながら」
増田「それが面白いんですよね。いまネット上で動画見ても55号はおかしくて」
萩本「二郎さんのすごいのは、全部アドリブですからね。偶然出来上がってるにもかかわらず、次の日やっても、その偶然にできたっていうところまでちゃんと演じられる。素人って偶然にできて2日目からどんどん作り物になっていくんです。稽古すればするほど、すごくわざとらしくなるんですよ。二郎さんはずーっと素人を演じられるんですよ」
増田「1つ2つ口約束で突っ込んだら、もう二郎さんからウワーってなって」
萩本「そうそうそう」
増田「本当に二郎さんも困ってるわけですか」
萩本「そうそうそう」
増田「だけど2回目からは」
萩本「本当に困ってるように2回目からもちゃんとできるという」
増田「それが本物の名人」
萩本「そう。二郎さん以上の人はこれから先も出ないだろうね」
(つづく=火・木曜公開)
▽はぎもと・きんいち 1941年、東京都生まれ。高校卒業後、浅草での修行を経て、66年にコント55号を結成。故・坂上二郎さんとのコンビで一世を風靡した。その後、タレント、司会者としてテレビ界を席巻し、80年代には週3本の冠番組の視聴率がすべて30%を超え、「視聴率100%男」の異名をとった。社会人野球「茨城ゴールデンゴールズ」の初代監督、2015年には73歳で駒澤大学仏教学部に入学するなど挑戦を続け、25年10月にスタートしたBS日テレ「9階のハギモトさん!」は今年4月からSEASON3に突入した。
▽ますだ・としなり 1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。



















