著者のコラム一覧
増田俊也小説家

1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

萩本欽一〈46〉斉藤清六が泣きながら持ってきた1000万円、追い返そうと思って貯金額を聞いたら驚いた

公開日: 更新日:

 作家・増田俊也氏による連載、各界レジェンドの生涯を聞きながら一代記を紡ぐ口述クロニクル。待望の第2弾は、「視聴率100%男」として昭和のテレビ界を席巻したコメディアンの萩本欽一氏です。

  ◇  ◇  ◇

増田「清六さんも素晴らしいですけど、それをまっすぐ受け取る萩本さんも素晴らしいですね」

萩本「ところがそうそう簡単にいかなかったの。『スター誕生!』の前説やれって言って清六ちゃんを入れたの。そうしたらね、スタートができない。前説やって、『さあ、それでは本番です』ってパッと去れば、音楽がダンダダンって始まるんだよ。普通の感性の奴だったら誰でもできるのにそれができないの。バンドさんが焦って死にそうだっていうんだよ。バンマスがそれでクビになっちゃった」

増田「それは災難ですね(笑)」

萩本「でもね、あんないい子を放っぽりだすわけにはいかないでしょ。下手なんだけども、しょうがないんで『欽どこ!』に来いと。とはいえ、いくらなんでもおまえのような者をテレビに出すって、そういうことはしちゃダメだ。それで、ディレクターにはこう言っておいた。『カメラの前には立たせるけど、放送には流さないでね。前説のつもりでいいから』って。でも、あいつが『もし、面白いこと、おかしいことを言ったらそこから流してください』って言ったの。『ただ、1回流してそれで終わりっていうのはやめてください。1回流したらずっと使ってください』って。結局、2年ぐらい放送にならなかったですね」

増田「前説をずっとやって」

萩本「うん。ところがある日、ディレクターが『今日は馬鹿におかしいから流す』って。私だから『それをしたら、もう約束ですから、1回出したらずっとやってよ』と言った」

増田「ファンの方は誰も知らない裏話ですね」

萩本「知らないです」

増田「ファンはみんな、清六さんはパッと出てきて有名になってというところしか知らない」

萩本「2年間、全部カットだったんです」

増田「すごい話ですね。その前にそのサンドイッチマンやったり」

萩本「そうね」

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