萩本欽一〈49〉駒沢大学でできた若い親友を「おまえらとなんか付き合えねえ」と怒鳴ったワケ
「小銭が落ちてるから下を向いて歩いちゃダメ」
萩本「なんか得しようって考えは、ダメ。下向いて歩いたらダメ。下向いてるとさ、ときどき100円玉とか落っこってるの。そういうところで得すると運が来ない。だから俺、まっすぐ歩けっていうんだよ。上を向かなくてもいい。下向いて歩くなっていうの。下向いてると小銭が落っこってるのによく当たっちゃうから、ダメ。そこで運を使っちゃダメ。そんな小さな運に喜んでたらダメよ。落ちてる小銭を見つけちゃったら、急いで交番に届けた方がいい。そうすると運が倍ぐらいになる」
増田「もう1人の親友になった学生はどうなったんですか」
萩本「もう1人はね、就職でね、絶対に自分の不可能なところへ面接に行ったの。教授が『無理だ』って言うのを頼み込んで、それで教授が電話して『面接くらいなら』って」
増田「綱渡りですね」
萩本「そう。そしたら面接で『自分は数千人いる駒沢大学の学生のなかで萩本欽一に選ばれたたった2人の友達のうちの1人です』って言ったっていうの」
増田「面接で?」
萩本「うん。そしたら絶対に不可能なところで4次試験まで通って合格しちゃった。入社が簡単な会社は全部落ちて、一番難しいところだけ受かっちゃったって。やっぱり欽ちゃんってすごいなって」
増田「たしかにすごいですね」
萩本「でね、次々に出世して、連絡が来ては、今度部署変わりました、今度役職上がりました、また役職上がりましたってどんどん出世して」
増田「いい仕事してるんですね」
萩本「うん、いい仕事してる。信じられない」
増田「100円玉を拾わないから大きな運がきたわけですね」
萩本「そのとおり」
(つづく=火・木曜公開)
▽はぎもと・きんいち 1941年、東京都生まれ。高校卒業後、浅草での修行を経て、66年にコント55号を結成。故・坂上二郎さんとのコンビで一世を風靡した。その後、タレント、司会者としてテレビ界を席巻し、80年代には週3本の冠番組の視聴率がすべて30%を超え、「視聴率100%男」の異名をとった。社会人野球「茨城ゴールデンゴールズ」の初代監督、2015年には73歳で駒澤大学仏教学部に入学するなど挑戦を続け、25年10月にスタートしたBS日テレ「9階のハギモトさん!」は今年4月からSEASON3に突入した。
▽ますだ・としなり 1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。



















