傾斜マンション ミス認めた三井住友建設「経営危機」の恐れも
横浜市都筑区のマンション傾斜問題の新たな展開には、口をあんぐりするしかない。
先週、基礎の杭打ち工事を行った旭化成建材と親会社の旭化成のトップがガン首を並べて謝罪したが、そもそも、施工主の三井住友建設が設計段階で想定より2メートル短い杭を発注していたというのだ。旭化成側の説明は、「1人の現場責任者が杭70本の施工データを改ざんした」というものだったが、長さが足らない杭を必死になって打ち込んだところで、目標地点に届くわけがない。
もちろん、旭化成側は杭が支持層に到達してないと判明した時点で、それを三井住友建設に伝え、別の杭を発注する必要があった。そうしなかったのはゼネコン業界の“深い闇”がありそうだ。
住宅ジャーナリストの榊淳司氏が言う。
「マンションの建設現場に立ち会ったわけではないので断定的なことは言えませんが、私は、元凶が全て現場責任者1人のずさんな作業にあるという旭化成側の説明を聞いた時点で、額面通りに受け取ることができませんでした。建設業界では、下請けの立場が圧倒的に弱い。旭化成側は途中で杭の長さが足らないと分かったはず。それでも、作り直しを三井住友建設に要求できず、隠蔽に走ったのだと思います」