膨らむ費用、スポンサー減少も…岐路に立たされる冬季五輪
五輪開催の弊害に関する多数の著書がある江沢正雄氏(オリンピックいらない人たちネットワーク代表)は「五輪閉幕後にも債務負担に苦しむ長野のようなケースを見れば欧州の都市であっても開催に二の足を踏むのは当然です」とこう続ける。
「長野五輪は開催に2兆円を投じて、残ったのは利用者が少ない施設と借金だけです。残った各施設は維持費がかかり、ソリ系種目の会場『ボブスレー・リュージュパーク』はコースの冷却に有害なアンモニアガスを使用しているのに、人件費削減のため管理人を1人しか置かないズサンな運営をしているほどです。ロシアのように国威発揚のため五輪を開催する国は極めてまれ。近年は環境破壊、財政リスクが高まっているため、今後は住民の猛反対もあり立候補する都市があるとは思えません」
■スポンサーも冬季五輪よりサッカーW杯
冬季五輪は、開催年でもハンディを抱えている。五輪、ラグビーW杯とならんでスポーツの世界三大イベントのひとつであるサッカーW杯が、同じ年の夏場に控えているからだ。サッカーW杯のスポンサー企業でもある飲料メーカーとファストフードチェーンは、ソチ五輪よりも今年6月のW杯ブラジル大会を重視。多額のプロモーション費用は、サッカーW杯に投じるといわれている。