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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

男子テニスに「新2強時代」到来もジョコビッチにまだ期待せざるを得ない複雑事情…日本勢は壊滅

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 日本のテニスはちょっと変わっている。新聞の取り上げ方に顕著で、フェデラーやナダル、セリーナが1面に違和感なく受け入れられる一方、一転してベタ記事にもなる。週初めにはデカデカと報じられ、週末に誰が優勝したか分からないこともしばしば……。今年最初のグランドスラムもそんな扱いだった。

 全豪オープン最終日、22歳のヤニク・シナーが、第3シードのメドべージェフを2セットダウンから逆転してメジャー初優勝を飾った。東北のひなびた町でWOWOW観戦していたが、周辺で買ったスポーツ紙の早版には翌日も翌々日もシナーの優勝記事はなかった。

 男子4強にジョコビッチら上位シードが顔をそろえ、特にシナーとジョコの準決勝には世代交代を予感させる緊張感があった。シナーは肉感こそないが、“ジョコ2世”を思わせる的確なボールコントロールと多彩な戦術で攻め続け36歳のミスと衰えを引きずり出した。

 全豪決勝にフェデラー、ジョコ、ナダルの“3強”が絡まなかったのは2005年以来で、22歳のチャンピオンは08年に20歳で勝ったジョコビッチ以来の若さ。既にウィンブルドンを制した20歳のアルカラスとともに3強のハードルを越え、新たな“2強時代”の到来と言っていいだろう。ただ、取り巻く状況はこれまでとかなり違う。

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