横綱照ノ富士の憂鬱…辞めるに辞められず、後進育てつつ騙し騙し土俵に立ち続ける重責

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 人は「休場しても給料が貰えるからいいね」なんて言うけれど――。

 26日に行われた水戸巡業。横綱照ノ富士(32)が、今巡業で初となる取組に参加し、大関霧島と数番、相撲を取った。

 両膝に腰痛と、力士としては致命的なバクダンを抱えている照ノ富士。今年1月場所は13勝2敗で優勝したものの、先場所は腰椎の椎間板症で7日目から途中休場を余儀なくされた。

 昨年は年6場所中、5場所を休場し、そのうち4場所が全休。引退間際の横綱の成績めいてきたが、いま、照ノ富士が引退すれば大相撲は横綱不在の危機を迎える。体が限界でも、辞められない理由があるのだ。

 かといって、すぐに横綱に昇進できそうな力士も見当たらない。貴景勝のひとり大関だった昨年の今頃に比べれば、現在は霧島、豊昇龍琴ノ若の4大関と頭数は増えた。しかし、霧島は来場所カド番で、豊昇龍はいまひとつ殻を破れず、琴ノ若も受けに回ると脆い。満身創痍の貴景勝に昇進を臨むのは、それこそ酷な話だろう。

 番付の下を見れば先場所優勝の尊富士や、逸材と評判の大の里など有望力士はいるものの、若手を待っている時間はない。 必然的に、大関に稽古をつけて彼らを育てつつ、自身も横審に横やりを入れられない程度に休場と出場を繰り返さないといけない。

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