著者のコラム一覧
小林佳樹金融ジャーナリスト

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

株主名簿に載らない“実質株主”に企業は戦々恐々…金融庁が仕組みづくり検討へ

公開日: 更新日:

 株主総会が集中する6月を控え、株主が行使する議決権についての議論が注目されている。「株主名簿には載らないものの議決権を持つ実質株主を企業が把握しやすくする仕組みについて、金融庁で検討が進められている」(大手証券幹部)というのだ。

 背景には、企業の株式持ち合いの解消が進む一方、外国人の持ち株比率が上昇していることがある。とくに外資を中心とするアクティビスト(物言う株主)の存在が大きく影響している。「日本株の外国人持ち株比率は3割に達しており、日本で活動するアクティビストは過去5年間で3倍の約70ファンドにまで拡大している」(同)ためだ。アクティビストはステルス兵器のように、企業が気付かないうちに企業の株式を買い増し、株主総会の議決権行使で経営に揺さぶりをかけてくるだけに、企業にとっては悩ましい問題となっている。

 企業の発行済み株式総数の5%を超える株式を保有した場合は、大量保有報告書を財務局に提出し、保有比率を開示しなければならないが、アクティビストを警戒する企業側としては5%未満でも株主名を知りたいところ。

 さらに、企業を悩ませるのは、「信託口」を利用して株式を保有しているケースだ。「信託口(勘定)は他人勘定であり、名義が信託銀行名になるため、本当の株主の名前が表に出ない」(市場関係者)ためだ。また、機関投資家は一般的に株式の保管・管理や配当金の代理受領などを「カストディアン」と呼ばれる資産管理銀行に委託しているが、カストディアンは自らの判断で議決権を行使することは少なく、実質株主が指図するケースが多い。このため、企業としては「実質株主が誰なのか」を把握したいとのニーズは高い。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  2. 2

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  3. 3

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  4. 4

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  5. 5

    国民民主党・玉木代表「ミッション・コンプリート」発言が大炎上→陳謝のお粗末…「年収の壁」引き上げも減税額がショボすぎる!

  1. 6

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  2. 7

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  3. 8

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  4. 9

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  5. 10

    楽天が変えたい「18番は田中将大」の印象…マエケンに積極譲渡で“背番号ロンダリング”図る