「わかりやすさの罪」武田砂鉄著

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 テレビで「一家の財布は夫が握るべきか、妻が握るべきか」というアンケートをやっていたが、その前に、「そもそも、どちらか一方が財布を握る必要があるのだろうか」という疑問がある。賛成か反対かという二択を迫られたとき、「どっちでもないね」とか「どうして選ばなきゃいけないんだよ」と答えることを諦めすぎではないか。選択する前に、ほかに選択肢はないのかを考えることが必要だ。

 著者は世の中が「わかりやすさ」に直進することに苛立ちを感じていた。わかりやすいものを求める姿勢は「わかりやすさの罪」の最たるものだ。人は情報の氾濫に巻き込まれまいと、わかるものだけをわかろうとするようになったのだ。

「わかりやすい社会」に痛烈な一撃を与える一冊。

(朝日新聞出版 1600円+税)

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