新作でアル中男の再生描く ガス・ヴァン・サント監督に直撃
「いろいろ考えた結果、アルコール依存症と、いかにそこから脱したかというところにフォーカスしました。キャラハンはAAミーティング(断酒会)に参加し、そこのリーダーとの出会いのなかで再生していくのですが、脚本には実際にそうしたところに足を運んだりして、取材したエピソードを取り入れています」
――リーダーは、キャラハンにハンディキャップがあるからといって、特別扱いしないのが印象的です。
「そういう扱いにはとても感謝したとキャラハンは語っていました。断酒といっても、彼は彼の毒舌を捨てたわけじゃないし、リーダーとも皮肉な冗談を言い合ったりしていたそうです。アルコール依存症も車椅子も大変だけれども、だからといって、人と人とのつながりの障害にはならないと思いますよ」
■自分を責めすぎない
――日本にもアル中かアル中寸前の中高年はそこここにいます。断酒会に行ったとしても、果たして映画のように公平に扱われるかは分かりません。
「そうした酒で悩める者たちに言うべきことはひとつ、『ドント・ドリンク(飲むな)』に尽きるでしょう。ただ、私も酒を飲んできたし、飲まずにいられなくなる気持ちも分かる。寂しいんですよ。それに酔っぱらうこと自体が悪いことではないとも思っている。日本には、酔って帰れなくなっても、安価で泊まることのできるカプセルホテルもあるというし、たまに飲み過ぎたとしても、自分を責め過ぎないでいいと思いますよ」