「恋する文化人類学者」鈴木裕之著

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「恋する文化人類学者」鈴木裕之著

 文化人類学者の著者は、1989年、西アフリカのコートジボワールでフィールドワーク中、音楽に合わせて踊る1人の少女と出会う。そして、その女性ニャマと恋に落ち、結婚する。彼女の家系は、750年以上も前のマリ帝国に起源を持つグリオと呼ばれる家系だった。

 グリオとは、「語り部」や「楽師」などと訳されるが、そのどれもが属性の一部を表現しているにすぎないという。文字を持たないアフリカでは、コミュニケーションの手段として声や音の文化が発達。グリオはその担い手として、ときに貴族の助言者やスポークスマン、ときに争いごとの仲裁まで担ってきたそうだ。

 本書は、異なる文化で育った女性との結婚という個人的な体験を通し、文化人類学という学問の面白さを語った入門書。

(KADOKAWA 1694円)

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