「恋する文化人類学者」鈴木裕之著

公開日: 更新日:

「恋する文化人類学者」鈴木裕之著

 文化人類学者の著者は、1989年、西アフリカのコートジボワールでフィールドワーク中、音楽に合わせて踊る1人の少女と出会う。そして、その女性ニャマと恋に落ち、結婚する。彼女の家系は、750年以上も前のマリ帝国に起源を持つグリオと呼ばれる家系だった。

 グリオとは、「語り部」や「楽師」などと訳されるが、そのどれもが属性の一部を表現しているにすぎないという。文字を持たないアフリカでは、コミュニケーションの手段として声や音の文化が発達。グリオはその担い手として、ときに貴族の助言者やスポークスマン、ときに争いごとの仲裁まで担ってきたそうだ。

 本書は、異なる文化で育った女性との結婚という個人的な体験を通し、文化人類学という学問の面白さを語った入門書。

(KADOKAWA 1694円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁