(44)家主がいなくなった実家は想像以上の速さで終末へと向かっていった

公開日: 更新日:

 空き家になってしまった実家。最初のうちは何度も行き来するけれど、次第に間隔が空くだろうと思い、最低限の管理をお願いするため地元の不動産事務所に月1回の「窓開け・通水サービス」を申し込んだ。ところが、下見を終え、契約日も決まっていたにもかかわらず、前日になって「引き受けることができない」と連絡が入った。

 理由を聞くと、勝手口の鍵が内側からかける方式で、防犯上の責任が持てないというものだった。既に防犯会社のセキュリティーシステムも設置してあるのでその点に責任を持ってもらう必要はないと説明したが、それでも引き受けられないと、ぴしゃりと断られた。想定外の出来事だった。

 不動産関係の友人が「空き家管理を引き受けるかどうかは、将来的な売却が暗黙の前提になることがある」と教えてくれた。私は「家は母名義で、当面売る予定はない」と伝えたので、将来的な利益につながらないと判断されたのだろう。他の会社を当たる気力ももうなかった。

 大きく茂った庭木の剪定はシルバー人材センターに頼んで済んでいた。けれど雑草まではまだ対応できておらず、夏に向かって恐ろしいほどの勢いを増す草を見ていると、急にどうにかしなければならないという衝動に駆られた。雨の中、庭に出て、体中泥だらけになりながら私は一心に草を抜いた。けれど、草はいっこうに減る様子はなかった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    号泣の渋野日向子に「スイングより、歩き方から見直せ!」スポーツサイエンスの第一人者が指摘

  2. 2

    一発退場のAぇ!group福本大晴コンプラ違反に「複数人関与」疑惑報道…旧ジャニ“インテリ”枠に敬遠の風向き

  3. 3

    だから今年の日本女子オープンはつまらない…“簡単コース”で予選カットラインは史上最少「-1」

  4. 4

    崖っぷち渋野日向子に「日本人キャディーと縁を切れ」の声…外国人起用にこれだけのメリット

  5. 5

    囁かれていた「Aぇ!group」は「ヤベぇ!group」の悪評判…草間リチャード敬太が公然わいせつ容疑で逮捕の衝撃

  1. 6

    西武・今井達也「今オフは何が何でもメジャーへ」…シーズン中からダダ洩れていた本音

  2. 7

    阪神・才木浩人はドジャース入りで大谷と共闘の現実味…「佐々木朗希より上」の評価まで

  3. 8

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  4. 9

    ドジャース佐々木朗希もようやく危機感…ロッテ時代の逃げ癖、図々しさは通用しないと身に染みた?

  5. 10

    男子の試合はガラガラ…今年のANAオープンのギャラリー数を知って愕然としました