もし災害に襲われ一時避難となったら…深刻な高齢者のトイレ問題
災害時、一定期間の避難生活を送ることを想定した施設のことを「指定避難所」と呼ぶ。主に学校や体育館、公民館などの施設が使われるのだが、あくまで緊急の避難先なので快適に暮らせる場所ではない。
とくに体育館は大勢の人を収容することができる半面、初期の避難生活は床に座るだけ。やがて毛布や食料などが配られても、疲れ切った心身をゆっくり休ませることはできない。避難初日は仕方ないと耐えることができても、利用する人や滞在日数が増えるほど問題が次々に起こってしまう。
被災者の権利保護をまとめた2024年の政府避難所運営指針によると、1人当たりの専有面積は3.3平方メートル以上、災害発生の初期段階のトイレ数は「50人につき1基以上」を求めている。しかし直近のアンケートでは半数以上の自治体が未達成。多くが基準を満たすことが困難と回答している。
もちろん避難所を開設すれば、管理する自治体は素早く体制を整え保健師や看護師などを巡回させ、被災者の健康を守るよう努力する。それでも体調を崩す可能性が高いのが高齢者だ。