末期がんの85歳男性「死ぬ思いでお惣菜を買ってきて、お粥をなんとか食べたけど…」
在宅医療は、患者さんのご自宅に上がり込み、時に生活全般にわたってサポートを行う医療です。だからこそ、患者さんやご家族が私たちを信頼し、受け入れてくださって初めて成り立ちます。
医師をはじめとした在宅スタッフは常に患者さんやご家族に寄り添い、お話に耳を傾けながら対話を重ねています。コミュニケーションを取り、時に疑問にお答えし、一つ一つ不安を取り除くよう心がけています。
入院から在宅医療へ切り替えた患者さんの中には、医師との信頼関係をうまく築けなかったために、医療そのものに不信感を抱いたまま自宅に戻られる方も少なくありません。
「そろそろ外出も厳しいですかね」
そうケアマネジャーさんから相談を受けたのは、大腸がんの末期であることを認めず、積極的な治療も望まない、85歳の1人暮らしの男性でした。
難聴があり話が伝わりにくく、思い込みも強いため、これまで医療機関との信頼関係を築けず、何度か病院を替えていたとのことでした。それでも「話を聞いてくれる医療機関にお願いしたい」と本人が希望され、当院に依頼が来たのです。


















