(46)年金だけではまかなえない。「生きる」のはあと何年──

公開日: 更新日:

 母の83歳の誕生日、鉢植えのシクラメンを抱えて施設を訪れた。母は「ありがとう」と言ったきり黙って外を眺めていた。何を思っていたのか、何か言いたいことがあったのかわからない。ただ、確かに「ありがとう」は聞こえた。

 後日、介護費用に関する説明があった。要介護度が2から5に上がったことで、月々の費用が大幅に増えるという。母の年金だけではまかなえない金額だった。

 主な理由は、おむつ代と食事の全介助費用の増加だった。夏ごろから排泄のコントロールが難しくなり、さらに自力で食べようとする意欲も低下してしまった。食事の介助には人手が必要で、その分の費用がかかるのは当然だ。だが、具体的な金額を聞き、私は思わず小さなうなり声を上げた。

 今も、母の年金では足りない月の差額は母自身の貯蓄から支払っているが、このペースで減っていけば、あと何年もつのだろうか。そして、その先は──。

 この施設は医師や看護師が常駐しているわけではない。夜間は職員が少数残るだけの、ごく小さな民間施設である。母のケアは、その限られた環境と人手のなかで行われている。私には到底できなかったことなので、心から感謝している。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    眞鍋かをり「愛子天皇待望論」は“陰謀論”発言が波紋…高学歴タレントコメンテーター生き残りの厳しい現状

  2. 2

    横綱大の里は“休場”に逃げられない? タイミングが悪すぎた土俵際の「大ジャンプ」

  3. 3

    佐々木朗希をヤンキースが強奪へ…大谷翔平&山本由伸を奪われた名門が企んだ雪辱戦

  4. 4

    三山凌輝「裏切り愛」でも愛娘・趣里に離婚を勧められない水谷豊&伊藤蘭の悲痛

  5. 5

    今夏の専大松戸の継投策が「エース→2番手」ではなく「2番手→エース」の理由…いざ千葉県大会決勝へ

  1. 6

    趣里の好感度にもいよいよ影響が…パスタ店開業の三山凌輝は「物言えば唇寒し」の悪循環

  2. 7

    中森明菜のタモリ評「心の底からホッとします」は国民の総意か? サングラス姿と性格的な3要素

  3. 8

    佐々木朗希は一軍復帰1試合でまた抹消…どれだけ脆弱でもドジャースが欲しがったワケ

  4. 9

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  5. 10

    “令和の武器商人”こと小泉進次郎防衛相の「核ありき発言」に自民国防族もカンカン