最期まで自宅で介護したい…現実との葛藤
在宅医療を始める患者さんの中には、積極的な治療を望まず、自宅で残された時間を自然に過ごし、最期を迎えようとする方がいらっしゃいます。
そのような患者さんを介護するご家族は、不治の病に対する焦りのようなものは落ち着くものの、物理的な介護の負担は依然として大きく、その軽減についてしばしばご相談を受けることがあります。
96歳のお母さまと60代の娘さんの2人暮らしのご家庭。お母さまには大きな病気はありませんでしたが、食欲不振による低栄養状態から、骨粗しょう症や筋肉量減少に伴う「サルコペニア」など、高齢者特有の全身的な機能不全に陥っていました。
娘さんはペースト状の食事の準備やゆっくりとした食事介助、こまめな血圧測定など、毎日献身的に母親のお世話をされていました。しかし、やがて自宅での介護に負担を感じるようになり、「レスパイト入院」を定期的に利用するようになりました。
レスパイト入院とは、在宅で介護を受けている方と、そのご家族に一時的な休息や息抜きを提供することを目的としたサービスです。介護者の心身の負担を軽減し、介護される方の在宅生活の継続をサポートします。


















