(36)「最善の施設を選んだのだ」と自分に言い聞かせた

公開日: 更新日:

 候補に挙がった有料老人ホームは、すべて月額の基本的な費用が10万円前後で収まる施設だった。それが母が受け取る予定になっている遺族年金の範囲内で支払える金額の条件だった。

 そんな折、数百万円から数千万円の入居金、月額数十万円という高級施設に親がいるという人に出会った。別の知人からは、親と一緒に高級ホームを見学したという話を聞くこともあった。

 私は、母の入所先を限られた予算の中で探していることに少し引け目を感じていた。しかし家庭の事情はそれぞれであり、現実的な予算の範囲で判断するしかない。

 世の中には潤沢な予算を使って老後を過ごすことのできる人もいるだろう。高級施設には、著名なシェフによる食事を来訪者とともに楽しめるダイニングや、ホテルのようなロビーを備えたところもある。だが、母は食への関心が薄れており、そうした要素は優先事項にはならなかった。私自身も、面会時に快適な空間があることを特に求めてはいなかった。現時点で医療職の常駐が必要な状態でもなかったため、医療体制も最低限で問題ないと判断していた。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  3. 3

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  4. 4

    “最強の新弟子”旭富士に歴代最速スピード出世の期待…「関取までは無敗で行ける」の見立てまで

  5. 5

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  1. 6

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  2. 7

    物価高放置のバラマキ経済対策に「消費不況の恐れ」と専門家警鐘…「高すぎてコメ買えない」が暗示するもの

  3. 8

    福島市長選で与野党相乗り現職が大差で落選…「既成政党NO」の地殻変動なのか

  4. 9

    Snow Manライブで"全裸"ファンの怪情報も…他グループにも出没する下着や水着"珍客"は犯罪じゃないの?

  5. 10

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です