介護
-

入院生活で一番つらいのは「食事」…多くの患者がそう答える
もしも人生の最期が近づいたとき、皆さんは「なにを」「誰と」食べたいと思いますか。 訪問診療を受ける多くの患者さんは、「できるだけ自宅で過ごしたい」「入院はつらい」と願い、病院から家に戻ってきます。自宅に戻った患者さんは、衰え...
-

もし災害に襲われ一時避難となったら…深刻な高齢者のトイレ問題
災害時、一定期間の避難生活を送ることを想定した施設のことを「指定避難所」と呼ぶ。主に学校や体育館、公民館などの施設が使われるのだが、あくまで緊急の避難先なので快適に暮らせる場所ではない。 とくに体育館は大勢の人を収容すること...
-

怒りっぽく物忘れが目立つ78歳男性…信頼関係の構築から始めた
私たちが訪問診療で伺うのは、ご自宅だけではありません。高齢の患者さんの場合、さまざまな介護施設へ訪問することも少なくありません。たとえば、介護スタッフが24時間常駐する「介護付き有料老人ホーム」、自治体が運営する「特別養護老人ホーム...
-

災害時の避難場所を把握しておこう…高齢世帯は行動が遅れる
地震や異常気象により、自宅にとどまることに不安や危険を感じるケースが増えている。度重なる震災の経験から「避難」に関する情報は身近になったものの、誰もが正しく理解しているとは言い難い。とくに高齢世帯は体力面から行動が遅れることがある。...
-

「AYA世代」のがん患者の診察が増加…全国に広がる支援事業
最近、訪問診療の現場で、若いがん患者さんを診察する機会が増えています。このような思春期から若年成人の患者さんを「AYA世代(Adolescent and Young Adult)」と呼びます。 高齢のがん末期患者さんの場合は...
-

(38)「母と娘」という形は、はっきりと失われた
母の入所先となる施設を仮申し込みしたことで、病院側でも退院に向けた準備が少しずつ進み始めた。母が状況をどこまで理解できるかはわからなかったが、たとえ形式的でも本人に一度確認しておきたいと考えていた。病院のケースワーカーもそれを後押し...
-

身体障害者の「有料道路割引制度」を上手に使おう
日本の有料道路料金は障害者の自立と社会経済活動への参加支援として、50%の割引が受けられる。適用になるのは障害者本人が運転する「本人運転」か、障害者本人が乗車している「介護運転」。ただし、これまでは事前に登録した車1台のみが対象で、...
-

大切な人の旅立ち…あなたならどんな言葉をかけますか?
脳出血の後、アルツハイマー型認知症や1型糖尿病など複数の病気を抱えながら、3年半にわたり在宅療養を続けていた90歳の女性患者さんがいました。 独立して近くに暮らす娘さんと息子さんが、ほぼ毎日交代で介護に通っていました。 ...
-

(37)仕事と介護を両立させるために必要なこと
母の施設探しをするうち、介護に関する話題を目にする機会が増え、他人事ではないと感じるようになってきた。なかでも介護のために離職する人はいまだに多く、社会的な課題としてたびたび取り上げられている。 私は、実家に戻って母の介護を...
-

(36)「最善の施設を選んだのだ」と自分に言い聞かせた
候補に挙がった有料老人ホームは、すべて月額の基本的な費用が10万円前後で収まる施設だった。それが母が受け取る予定になっている遺族年金の範囲内で支払える金額の条件だった。 そんな折、数百万円から数千万円の入居金、月額数十万円と...
-

老親の運転が不安…自動車に貼り付けるマークの意味と効果
逆走や急発進など、高齢ドライバーの運転リスクを伝えるニュースが多い。おかげで「高齢者=免許返納」という考えがすぐに浮かんでしまうが、前期高齢者(65~74歳)なら今の時代、いくらでも現役で働いている人がいる。 判断力や運動能...
-

最期が近い患者の家族から「点滴の栄養を増やしたい」と言われ…
在宅医療の現場でも患者さんへの点滴は必要に応じて行われます。水分摂取を口から行えている場合は必要はありませんが、嘔吐したり下痢などを起こすなど、何らかの理由により口からの摂取が難しくなった場合に実施されます。 そしてこの点滴...
-

(35)高齢家族がいれば誰でも、今、この瞬間、介護が始まる可能性
高齢者施設探しを始めた時、母は82歳になっていた。認知症専門医院に入院中に誕生日を迎えていたが、同年代で元気に生活している人も多い年齢である。施設を選ぶにあたって、周囲にはまだ介護施設の入所経験がある友人がほとんどおらず、相談できる...
-

地元ならではの「足」を活用し老親の外出機会を増やす
あなたの親は一日のほとんどを家の中で過ごしていないだろうか。病気やケガ、要介護状態ならともかく、健康なのに行動範囲が家の中か庭先くらいといった日々が続くと、筋力や認知機能低下のリスクが高まり、寝たきりや要介護状態を招く可能性が高くな...
-

70代男性は「床ずれ」がひどく、家でのケアを不安視していたが…
在宅医療を始める患者さんやご家族の多くは、それまで経験のない「自宅で療養する」という新しい生活スタイルに戸惑われることが少なくありません。 たとえ、在宅医療の開始前に時間をかけて医院側と打ち合わせを行い、介護ベッドやポータブ...
-

免許なしでも使える帰省中の便利な足…シェアサイクルが役立つ
親元に帰省した時、滞在中の足をどう確保するかは悩ましい問題だ。まず思い浮かぶのはレンタカーやカーシェアを活用することだが、店舗やステーションが限られるうえ、それなりの出費を覚悟しなければならない。最も安価な軽自動車を選んでも、48時...
-

(32)代わってくれる人はいない…私がやるしかない
母の入居先となる有料老人ホームの候補を、紹介業者に選んでもらっている間、地域包括支援センターから特別養護老人ホーム(特養=介護老人福祉施設)についての説明を受けた。特養は比較的費用が抑えられ、長期的な入所を前提とした公的施設だ。ただ...
-

延命治療を希望するか否か…本人や家族の意志も事前に確認
親を介護施設などに入所させた時、延命治療に関する意思確認書の提出を求められることがある。家族としては「縁起でもない」「まだ元気なのになぜ?」と戸惑ってしまうが、実は決して珍しいことではない。 施設としては要介護状態の高齢者を...
-

認知症の患者さんからのセクハラにどのように対応するか
「中国人の技能実習生の女性にセクハラ行為があり、彼女がとても怖がっているんです」 ある日、日頃から関わりのあるデイサービス事業所から、そこに通う89歳の男性患者さんについて相談の電話がありました。 この男性は軽度の認知...
-

(31)母の退院後の施設探し…費用は一体いくらかかるのか
認知症の母の退院後の施設を決めるため、私は地域包括支援センターから紹介された民間業者と電話でやりとりを始めた。施設選びには、希望する地域、予算、必要な条件を伝える必要があった。私は、できるだけ実家の近く、母の生まれ育った場所のそばで...
-

(30)どの施設ならいいのか…判断材料はほとんどなかった
父が亡くなり、残された猫たちを東京に引き取った私は、実家の整理と事務的な手続きに追われながら、限界に近い疲労を感じていた。こういう時に限ってなぜか仕事も忙しく、次から次に依頼や打ち合わせが相次いでいた。先行きのわからない不安から、私...
-

親の施設入所を決める前にチェックしたい「面会制限」事情
世界中をパニックに陥れた新型コロナウイルス感染症は人々の生活を一変させた。日本でもソーシャルディスタンスやリモートといった言葉が飛び交い、マスク不足や医療崩壊、飲食店の休業が長く続き、不安な日々を過ごしていたことは記憶に新しい。 ...
-

圧迫骨折で入院の80代女性は「病院食はまずい」と食事を拒否
病院にいることでかえって体調が悪化するのではないかと心配され、入院中の食事やリハビリを拒否して、ご主人と娘さんの待つ自宅に戻り、在宅医療を始めた80代の女性の患者さんがいらっしゃいます。 この方は、骨折によって背骨の神経の通...
-

(29)時はコロナ禍…東京ー熊本の行き来は絶対に誰にも言えない
父が残した猫4匹を東京に引き取ると決意した私は、叔母に一時的な世話を頼みながら、短期間で何度か東京と熊本を往復していた。父の死に関する事務処理を進めなければならなかったからだ。役所への死亡届、携帯電話の解約、廃車や保険の解約、そして...
-

「日常生活自立支援事業」を活用しよう…親の不安や疑問に対応
人は60歳を過ぎると認知機能が少しずつ衰えていく。人やモノの名前が思い出せず「あれ」や「それ」を連発するくらいならともかく、判断力の低下で日常生活に支障をきたし始めると思いがけないトラブルになりかねない。 もし親がそのような...
-

(28)実家に残された高齢猫4匹は東京へ連れて帰ることに決めた
だんだん私自身が精神的な疲れを感じるようになっていた中、もうひとつ急いで解決しなければならないことがあった。父がいなくなった無人の実家で、4匹の猫たちが生き延びていたのだ。 父の推定死亡日から発見されるまで約1週間。えさは食...
-

親のおむつを選ぶうえで知っておくべきこと…親の気持ちを理解する
高齢の親から「パンツを買ってきてくれ」と頼まれたら、あなたは何を確認するだろう。サイズと好みの形、あとは色柄あたり? とりあえずはければいいよね的な感覚で選ぶことだろう。 では、おむつだったらどうするか。実はこれがとてつもな...
-

自宅近くはタクシー利用が困難…配車アプリも使いこなせない
在宅医療を始めるきっかけはさまざまですが、次のようなケースが一般的です。入院中の方であれば、病院の退院支援・相談窓口を通じて、あるいは診療所の医師や看護師からの紹介を受ける。一方、自宅で介護サービスを受けている方であれば、担当のケア...
-

(27)介護、家の管理、相次ぐ出資…すべてが私一人の肩に
年が明けてすぐ、実家で父がひっそりと亡くなっているのが見つかった。まさかの出来事だった。私は仕事の手を止めて東京から急ぎ実家に向かい、喪主を務めなければならなくなった。自分の生活がすべて止まった。 母の主治医から、当面父の死...
-

精神・高次脳機能障害の治療に言語聴覚士の介入が重要なのはなぜか
高次脳機能障害や精神障害の治療には、言語聴覚士(ST)による介入がとても重要です。心のケア、つまりコミュニケーションによる寄り添いが大切であるためです。 そこで、われわれは「アフォーダンスの理論」を使います。米国の心理学者ジェームズ...
