災害時に要介護者が入所できる「福祉避難所」を確認しておきたい
「福祉避難所」は高齢者や障害者、乳幼児、妊産婦など、一般の避難所で集団生活することが難しい「要配慮者」のための避難所だ。
その必要性は誰もが理解し、どの自治体も平時からリストを作っているはずだが、実際の運営はとても難しい。事前にどの施設を使うか決めていても、災害時に即フル稼働させる体制をつくることができないからだ。
医療職や介護職、管理者などのマンパワー。ベッドや医療機器、電気水道の確保。災害規模が大きいほど準備に時間がかかる。そこに入所してもらう人の調整も、一般の避難所での健康調査をしなければ進められない。事前に「あなたは直接この福祉避難所に行って」と個別計画を立てている自治体などごく僅かだ。
たとえば、東日本大震災で大きな被害を受けた石巻市では、各一般避難所の健康調査をまとめることができたのは発災から約2週間後。そこで約100人の要配慮者がいることを把握し、福祉避難所などへの移送を行った。
高齢者の場合、介護量の多い人はA避難所、ベッドやポータブルトイレがあれば何とか自立できる人はB避難所、医療を必要とする人はC避難所などに分けた。ただ、数が限られるため被災者かつ自宅が使えず、家族に介護できる人がいないことを入所資格とした。