著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

末期がんで余命わずかの65歳男性…緩和ケア病棟か自宅療養か

公開日: 更新日:

「S状結腸がん末期」の65歳の男性患者さんは、「歩行器を使ってでも、最期まで自分の店に立ちたい」という強い思いから、BSC(ベスト・サポーティブ・ケア)を選択し、私たちのクリニックで在宅医療を始めました。BSCとは、がんに対して積極的な治療は行わず、痛みなどの身体的苦痛を和らげ、QOL(生活の質)の維持・向上に重点を置いて療養を行う方針のことです。

 この患者さんは当初から強い意志を持ち、入院中も化学療法などの治療は受けませんでした。また、入院時に貧血のため行っていた輸血も、在宅医療開始後は希望されませんでした。

 一方で、同居する娘さんと奥様は患者さんのかたくなな姿勢を心配し、最期の備えとして病院の緩和ケア病棟への入院を希望していました。ただし、この病棟を利用するには月1回の通院が必要なため、当院の在宅診療と病院外来を併用する形を取りました。

 在宅療養が始まってしばらくしたある日、娘さんから緊急の連絡がありました。

「父がしゃがんだ後、しばらく立てなくなってしまって……。今は少し歩けるようにはなっていますが、6月に緊急搬送されたときと同じく、肝臓の出血が原因ではないかと心配です。急ですが、今から診に来てもらえますか?」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    米倉涼子“自宅ガサ入れ”報道の波紋と今後…直後にヨーロッパに渡航、帰国後はイベントを次々キャンセル

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    彬子さま三笠宮家“新当主”で…麻生太郎氏が気を揉む実妹・信子さま「母娘の断絶」と「女性宮家問題」

  4. 4

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  5. 5

    ヤクルト池山新監督の「意外な評判」 二軍を率いて最下位、その手腕を不安視する声が少なくないが…

  1. 6

    新型コロナワクチン接種後の健康被害の真実を探るドキュメンタリー映画「ヒポクラテスの盲点」を製作した大西隼監督に聞いた

  2. 7

    違法薬物で逮捕された元NHKアナ塚本堅一さんは、依存症予防教育アドバイザーとして再出発していた

  3. 8

    大麻所持の清水尋也、保釈後も広がる波紋…水面下で進む"芋づる式逮捕"に芸能界は戦々恐々

  4. 9

    “行間”を深読みできない人が急増中…「無言の帰宅」の意味、なぜ分からないのか

  5. 10

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発