「目くじら社会の人間関係」佐藤直樹著
震災の被害者に義援金を寄付したタレントがバッシングされるなど、誰もがネットで容易に発言できる今、日本は1億総「目くじら社会」になっていると著者は指摘する。それはなぜか。日本は隅々まで「世間」が支配しており、「世間」のルールに反するような行為は、それが正しいことであっても、批判を受けてしまうのだとか。
こうした世間の存在は日本独特なものだという。1990年代末、グローバル化の進展に伴う新自由主義の浸透によって、人々は「強い個人」であることを要求された。その競争的環境におかれ息苦しさが増した結果、世間の同調圧力が強まり、「世間」が暴走して、皆が目くじらを立てるようになったという。
世間を切り口に、日本の現代社会の構造を鋭く読み解く納得の書。
(講談社 860円+税)