「しをかくうま」九段理江著

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「しをかくうま」九段理江著

「わたし」はテレビで競馬の実況放送を担当している。人生のスタートはテレビで放映されていた日本ダービーだった。そのときの競馬場の芝生の匂いや、空気を震わす10万人の歓声ははっきり思い出せる。

 1頭の動物がはるかな場所から過去と未来を行き来し、わたしの現在に向かって疾走してくる。それ以来、わたしの人生は彼らを中心に回り始めた。

 ニーチェは「神は死んだ」と言ったが、それを実際に見たのかもしれない。わたしは神ではなく馬を見た。神は馬だ。馬は人間を乗せてこの世界に連れてきたのだ。

「競走除外」となって走れなかった馬を糸口にして、人と馬の歴史をたどる。

(文藝春秋 1650円)

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