「財政と民主主義」神野直彦著

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「財政と民主主義」神野直彦著

 世界の多くの国は、経済システムは市場経済、政治システムは民主主義に基づいた市場社会体制を採用。市場社会では、被統治者の合意を得て、その所得から租税を調達して社会を統合する。

 こうして財政が誕生。財政には、公共サービスを提供する「資源配分」と市場経済によって生まれた格差を是正する「所得再分配」、そして景気変動を安定化させ雇用保障を図る「経済安定化」の3つの機能がある。

 しかし、台頭する新自由主義によって市場経済は政治システムの制御から解放され、社会の従僕だった金融が社会の主人へと成り上がってしまった。いまや財政は機能不全を起こし、すべてが市場経済に置き換えられ、社会や自然環境まで破壊されようとしている。

 この危機を乗り越える方途を考察したテキスト。

(岩波書店 1100円)

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