「財政と民主主義」神野直彦著

公開日: 更新日:

「財政と民主主義」神野直彦著

 世界の多くの国は、経済システムは市場経済、政治システムは民主主義に基づいた市場社会体制を採用。市場社会では、被統治者の合意を得て、その所得から租税を調達して社会を統合する。

 こうして財政が誕生。財政には、公共サービスを提供する「資源配分」と市場経済によって生まれた格差を是正する「所得再分配」、そして景気変動を安定化させ雇用保障を図る「経済安定化」の3つの機能がある。

 しかし、台頭する新自由主義によって市場経済は政治システムの制御から解放され、社会の従僕だった金融が社会の主人へと成り上がってしまった。いまや財政は機能不全を起こし、すべてが市場経済に置き換えられ、社会や自然環境まで破壊されようとしている。

 この危機を乗り越える方途を考察したテキスト。

(岩波書店 1100円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    国分太一との協議内容を“週刊誌にリーク”と言及…日本テレビ社長会見の波紋と、噴出した疑問の声

  5. 5

    衆院定数削減「1割」で自維合意のデタラメ…支持率“独り負け”で焦る維新は政局ごっこに躍起

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  5. 10

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較