倉本聰氏 TVの現状を危惧「視聴者の想像力を消している」

公開日: 更新日:

 春から半年間にわたってテレビ朝日系で放送された帯ドラマ「やすらぎの郷」。俳優や歌手、脚本家などテレビの世界で活躍した人だけが入居できる老人ホームという異色の舞台設定が話題を呼び、多くの視聴者を楽しませた一方、若者向けドラマばかりのテレビ界に一石を投じる作品となった。生みの親である脚本家の倉本聰氏(82)がいまのテレビ界が抱える問題点とともに2017年の世相を振り返り、総括する。

 ◇  ◇  ◇

 この1年はスキャンダルな報道が目立ちましたが、なかでも最も印象的だったのは、豊田真由子前衆院議員についてのテレビ報道ですね。暴行現場の映像は一切映されず、「やめてください、やめてください。……ボコッ」といった音声だけが延々と流れました。多くの視聴者は、あの声を聞くたびに、哀れなオジサン秘書の風貌や表情を想像したのではないでしょうか。

 あの報道は一種のラジオドラマであり、音声を聞いた人の想像力を膨らませ、「像」を結ばせた。多くの観客が情けを乞う声の主に感情移入し、言葉は悪いかもしれないけれど、楽しんでいたはず。図らずもドラマが持つ本来の面白さを表現していたんです。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    日本球界今オフを襲うポスティング地獄…“予備軍”もゴロゴロ、空洞化ますます加速

    日本球界今オフを襲うポスティング地獄…“予備軍”もゴロゴロ、空洞化ますます加速

  2. 2
    佐々木朗希とのただならぬ関係…陰で糸引く「黒幕」は大船渡高時代の韓国遠征まで追いかけた

    佐々木朗希とのただならぬ関係…陰で糸引く「黒幕」は大船渡高時代の韓国遠征まで追いかけた

  3. 3
    ついに国民年金65歳まで納付案が…政府がヒタ隠す「年金積立金250兆円」という都合の悪い真実

    ついに国民年金65歳まで納付案が…政府がヒタ隠す「年金積立金250兆円」という都合の悪い真実

  4. 4
    キムタクを縛り続ける《公称176cm》のデータ…「Believe」番宣行脚でも視聴者の関心は共演者との身長比較

    キムタクを縛り続ける《公称176cm》のデータ…「Believe」番宣行脚でも視聴者の関心は共演者との身長比較

  5. 5
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

  1. 6
    「白鵬の弟子」押し付け合い勃発! あちこちから聞こえる師匠譲りの不穏な評判

    「白鵬の弟子」押し付け合い勃発! あちこちから聞こえる師匠譲りの不穏な評判

  2. 7
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 8
    キムタク主演ドラマがまさかの1ケタ…“考察”慣れしすぎて王道スポ根が楽しめない?

    キムタク主演ドラマがまさかの1ケタ…“考察”慣れしすぎて王道スポ根が楽しめない?

  4. 9
    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

  5. 10
    大谷は徹底した個人主義、思考回路も米国人…ゴジラ松井とはメンタリティーに決定的差異

    大谷は徹底した個人主義、思考回路も米国人…ゴジラ松井とはメンタリティーに決定的差異