厳しい監視のもと…公衆電話で10円玉を重ねた初めての恋は

公開日:  更新日:

「コンビニに行ってきます」と言って、部屋を出て、電話ボックスに駆け込んだ。

「きょうはどこへ行って、こんなことがあったよ」

 10円玉を緑の電話の上に重ねて、ボタンを押す。たわいのない話をして「うん、うん」と相づちが受話器から聞こえてくるだけでうれしかった。

 しばらくして私は、ひとり暮らしを始めた。しかし、そこに彼を招くことはなかった。家の行き来を誰かに見つかって、それこそ撮られてしまったりしたら大変なことになってしまうからだ。

 彼はいつも優しく、怒ったり、無理なことを言うこともない。いつも私を気にかけていてくれた。喧嘩など一度もしたことがない。やがて、こんな自分が相手で申し訳ないという気持ちが募り、私から別れを告げてこの恋は終わった。2年ほどの付き合いだっただろうか。一緒にいた時など数えるくらいしかない。それでもその時、その恋は私にトキメキをくれた。

 友達の協力がなければ会うことすらかなわなかった、ひとりの女の子の恋物語である。

 (構成・長昭彦/日刊ゲンダイ)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新の芸能記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    毒づきがアダに…和田アキ子"平成ラスト紅白"落選は当然か

  2. 2

    また仰天答弁…桜田五輪相は地元も見放した“柏の出川哲朗”

  3. 3

    豊洲市場開場から1カ月…腐敗臭に続きの床が「穴」だらけ

  4. 4

    “原爆Tシャツ”波紋のBTS 「紅白落選」の影響と隠れた本音

  5. 5

    宮沢りえホクロ取って正解? 鑑定歴25年の占い師に聞いた

  6. 6

    日米野球で打率4割 SB柳田“33歳でメジャー挑戦”の現実味は

  7. 7

    BTSと東方神起は紅白落選…TWICEだけが残ったワケ

  8. 8

    キムタクと2ショット解禁 コウキ操る静香のシタタカ戦略

  9. 9

    巨人“台湾の大王”王柏融スルーは広島FA丸取り自信の表れ

  10. 10

    鼻を突く生臭さ…豊洲市場の内外で漂い始めた「腐敗臭」

もっと見る