徹夜の撮影続き…学校の授業はおろか満足に眠る余裕もなく

公開日: 更新日:

大西結花編 <4>

 果てしなく繰り返されるテストのたびに、同年代の出演者と顔を見合わせていた。多感な中学生たちの青春群像劇、映画「台風クラブ」(1985年公開)の夜のプールのシーンのロケ。テストとはカメラテストのことで、カメラは回ってはいない。鬼監督と言われた相米慎二監督がずっと黙ったままだから、私たちはどこをどう変えればいいのか、どう演じていいのかも分からない。

「自分たちで考えて、動きを変えてごらん」

 助監督のアドバイスで輪になって話し合い、動きを変えてみる。それでも、監督は何も言わない。そうこうしているうちに夜が明ける。次の日の集合は時間が大幅に早められ、昼になった。それでもまた夜が明けて、また徹夜。それで、次の集合時間は午前中と告げられた。

 そうやってはじめても、また夜が明けた。当時私は高校1年だったが、授業はおろか、満足に眠る余裕もない。

 土日も仕事。映画公開と同じ年に「アラベスク・ロマネスク」で歌手デビューさせてもらってからは、土日こそ仕事であった。早朝にマネジャーが迎えに来て、コンビニで買った朝食を車の中で食べて現場入り。そしてデパートの屋上などでのイベントや握手会を回っていく。いわゆるキャンペーンだ。これは私だけじゃなく、当時の芸能界では当たり前だったと思っている。仕事のあるうちが花とばかり、子どもも大人も本当によく働いていた。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い