厳しい監視のもと…公衆電話で10円玉を重ねた初めての恋は

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 そんな私も恋をした。アイドルは交際禁止と言われていたのは分かっていたが、それでも恋はしてしまうのだから仕方がない。それは、今思えば可愛い、おままごとみたいなもので、ほとんどは私から電話をかけるだけ。

「コンビニに行ってきます」と言って、部屋を出て、電話ボックスに駆け込んだ。

「きょうはどこへ行って、こんなことがあったよ」

 10円玉を緑の電話の上に重ねて、ボタンを押す。たわいのない話をして「うん、うん」と相づちが受話器から聞こえてくるだけでうれしかった。

 しばらくして私は、ひとり暮らしを始めた。しかし、そこに彼を招くことはなかった。家の行き来を誰かに見つかって、それこそ撮られてしまったりしたら大変なことになってしまうからだ。

 彼はいつも優しく、怒ったり、無理なことを言うこともない。いつも私を気にかけていてくれた。喧嘩など一度もしたことがない。やがて、こんな自分が相手で申し訳ないという気持ちが募り、私から別れを告げてこの恋は終わった。2年ほどの付き合いだっただろうか。一緒にいた時など数えるくらいしかない。それでもその時、その恋は私にトキメキをくれた。

 友達の協力がなければ会うことすらかなわなかった、ひとりの女の子の恋物語である。

 (構成・長昭彦/日刊ゲンダイ)

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