感覚器と心臓(5)「難聴」がどれくらい進んだら補聴器の使用を検討するべきか
「難聴」=「聞こえにくさ」は、心臓にとってマイナスに働き、健康寿命を縮める要因になると前回お話ししました。会話が聞き取れないことは大きなストレスになりますし、コミュニケーションがとりづらくなって孤独や社会的孤立が深まり、結果として心臓病リスクのアップにつながるのです。
心臓を守るためには、難聴を改善させる対策が大切で、現時点では補聴器を使うのが最も確実で有効な方法といえます。では、聞こえにくさがどの程度の段階で補聴器の使用を検討すればいいのでしょうか。難聴の程度などによっても異なりますが、日本聴覚医学会難聴対策委員会では、補聴器を装着する基準として40dB以上の難聴としています。これは、普通の大きさの声で会話する際に聞き間違いをしたり、聞き取りが困難だと自覚するレベルです。会話の最中に聞き返すことが増えたり、後ろから呼びかけられても気づかなかったり、テレビの音が大きいと指摘されることがある人も該当します。
ちなみに、上皇陛下は2012年に心臓手術を受けられた数年後から、補聴器の使用を始めたそうです。上皇后陛下も同じく補聴器を装用されています。被災地を訪問された際など、相手の言葉を聞き漏らしたり、何度も聞き返すことがないように導入を決められたといいます。