萩本の両親から「せがれを使ってやってもらえないか」と…

公開日: 更新日:

萩本欽一<前編>

 フランス座の軟式野球チームには、のちにコメディアンとして大成する“欽ちゃん”こと萩本欽一も所属していた。フランス座を経営する東洋興業のもう一つの劇場「東洋劇場」でゼロから笑いを学んだ、生粋の“浅草芸人”だ。

 もともとは萩本の両親が駒込でやっていた写真館がつぶれて、家族で松倉さんの父が経営するアパートに越してきたのが芸人になる転機となった。当時は、劇場のほかに「第一松倉荘」「第二松倉荘」というアパートを所有していた。フランス座と東洋劇場の芸人、裏方、踊り子が寮として使っていたが、関係ない人たちも住んでいた。欽ちゃん一家はこの第一松倉荘に引っ越してきた。

「入ってしばらくしてから欽坊の父親が、自分たちの大家はフランス座なんだって知ったんだ。私の父・宇七のところに欽坊を連れて、菓子折りを持ってやってきた。『実はうちのせがれがコメディアンやりたいって言っていて、使ってやってもらえないでしょうか』とね。それで、通っていた駒込高校を卒業後に見習いから、ということになったんだ」

 萩本は元来、シャイで真面目。周囲は、コメディアンとしての素質に疑問を感じていたそうだ。実際、努力家であるものの、舞台ではパッとしない日々が続いた。当時、劇場のトップだった師匠の池信一に入門して、3カ月目には「コメディアンに向かない」と演出家にダメ出しされたという。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    日本球界今オフを襲うポスティング地獄…“予備軍”もゴロゴロ、空洞化ますます加速

    日本球界今オフを襲うポスティング地獄…“予備軍”もゴロゴロ、空洞化ますます加速

  2. 2
    佐々木朗希とのただならぬ関係…陰で糸引く「黒幕」は大船渡高時代の韓国遠征まで追いかけた

    佐々木朗希とのただならぬ関係…陰で糸引く「黒幕」は大船渡高時代の韓国遠征まで追いかけた

  3. 3
    ついに国民年金65歳まで納付案が…政府がヒタ隠す「年金積立金250兆円」という都合の悪い真実

    ついに国民年金65歳まで納付案が…政府がヒタ隠す「年金積立金250兆円」という都合の悪い真実

  4. 4
    キムタクを縛り続ける《公称176cm》のデータ…「Believe」番宣行脚でも視聴者の関心は共演者との身長比較

    キムタクを縛り続ける《公称176cm》のデータ…「Believe」番宣行脚でも視聴者の関心は共演者との身長比較

  5. 5
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

  1. 6
    「白鵬の弟子」押し付け合い勃発! あちこちから聞こえる師匠譲りの不穏な評判

    「白鵬の弟子」押し付け合い勃発! あちこちから聞こえる師匠譲りの不穏な評判

  2. 7
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 8
    キムタク主演ドラマがまさかの1ケタ…“考察”慣れしすぎて王道スポ根が楽しめない?

    キムタク主演ドラマがまさかの1ケタ…“考察”慣れしすぎて王道スポ根が楽しめない?

  4. 9
    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

  5. 10
    大谷は徹底した個人主義、思考回路も米国人…ゴジラ松井とはメンタリティーに決定的差異

    大谷は徹底した個人主義、思考回路も米国人…ゴジラ松井とはメンタリティーに決定的差異