愛想のないエレベーターボーイがタップを覚えて直談判した

公開日: 更新日:

ビートたけし(北野武)<後編>

 明大生だったたけしが、浅草フランス座でチケット売り場のおばちゃんに「コメディアンになりたいんだけど」と声をかけた。これがキッカケで、フランス座のエレベーターボーイの仕事を始める。

 1階から3階は東洋劇場で、4、5階にフランス座。その間を1台のエレベーターが行き来する。たけしは、客が入ったらドアを閉めて、客を希望階に連れていった。

「接客業ですよ。だけどタケは愛想がなくてね。当時の私も支配人に『新エレベーターボーイです』と紹介されて会いましたが、礼儀正しいけど、どこか暗い印象で……。コメディアンを目指しているなんて、想像もできませんでした」

 客がいないときは、エレベーター前で文庫本を読んでいる。「だけど掃除なんかはきちんとするから、クビにはできない」という状況だった。

 このエレベーターは芸人やスタッフも使った。たけしは、師匠となる脚本家で“伝説の浅草芸人”と称される深見千三郎とも、ここで出会った。

「タケは『師匠、芸人になりたい』と直談判したといいます。深見も、最初は『大学やめてコメディアンになろうってやつがいるか!』と一喝したそうですが、そのうち本気だと感じるようになり、『おまえ、一体何ができるんだ』と質問した。でもタケは何もできません、と。それでタップを教えたんですね。それからタケは、時間が空けば屋上で練習していたよ」

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  2. 2

    国民民主党の支持率ダダ下がりが止まらない…ついに野党第4党に転落、共産党にも抜かれそうな気配

  3. 3

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  4. 4

    来秋ドラ1候補の高校BIG3は「全員直メジャー」の可能性…日本プロ野球経由は“遠回り”の認識広がる

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  3. 8

    脆弱株価、利上げ報道で急落…これが高市経済無策への市場の反応だ

  4. 9

    「東京電力HD」はいまこそ仕掛けのタイミング 無配でも成長力が期待できる

  5. 10

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー