斎藤貴男
著者のコラム一覧
斎藤貴男ジャーナリスト

1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際学MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「戦争経済大国」(河出書房新社)、「日本が壊れていく」(ちくま新書)、「『明治礼賛』の正体」(岩波ブックレット)など著書多数。

元検証委員のひとりとして叫ぶ「BPOは存続の危機だ」

公開日: 更新日:

フジテレビは、自分たちの番組と花の自死が無関係だったかのような主張ばかり。書類には私を攻撃する言葉が並んでいました。それなのに……」

 フジテレビの人権侵害は、なかったことにされた。さる3月30日、リアリティー番組「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラー・木村花さん(享年22)の自殺をめぐるBPO放送人権委員会決定を受けた記者会見で、母親の響子さん(44)が声を詰まらせる。すでに2週間近くが経つが、これで済まされてよい話ではないので、書く。

「私と花とはケンカもしました。いつもべったりではなかったけれど、困ったことがあると連絡をくれる。あの直前もです。フジの人たちは、私たちの日々を何も知らない」

 フジ側の強弁は酷いものだった。彼らが人権委に提出した答弁書を私は入手しているが、番組と自殺との因果関係を否定しているにも等しい内容だ。“いじめ”自殺の責任から逃れようとする学校や教育委員会の手口と、まったく同じなのである。

 だが人権委は、真摯さとはかけ離れたフジの姿勢を不問に付した。彼らはただ、番組のネット配信後に大量の誹謗中傷を浴び、自傷行為に及んだ花さんに、フジは「一定のケア」を行って同じ番組を地上波でも放送したのだから「人権侵害とまでは断定できない」「責任を負うべきは放送局ではなく非難を行った者」だと結論づけている。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    日本球界今オフを襲うポスティング地獄…“予備軍”もゴロゴロ、空洞化ますます加速

    日本球界今オフを襲うポスティング地獄…“予備軍”もゴロゴロ、空洞化ますます加速

  2. 2
    佐々木朗希とのただならぬ関係…陰で糸引く「黒幕」は大船渡高時代の韓国遠征まで追いかけた

    佐々木朗希とのただならぬ関係…陰で糸引く「黒幕」は大船渡高時代の韓国遠征まで追いかけた

  3. 3
    ついに国民年金65歳まで納付案が…政府がヒタ隠す「年金積立金250兆円」という都合の悪い真実

    ついに国民年金65歳まで納付案が…政府がヒタ隠す「年金積立金250兆円」という都合の悪い真実

  4. 4
    キムタクを縛り続ける《公称176cm》のデータ…「Believe」番宣行脚でも視聴者の関心は共演者との身長比較

    キムタクを縛り続ける《公称176cm》のデータ…「Believe」番宣行脚でも視聴者の関心は共演者との身長比較

  5. 5
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

  1. 6
    「白鵬の弟子」押し付け合い勃発! あちこちから聞こえる師匠譲りの不穏な評判

    「白鵬の弟子」押し付け合い勃発! あちこちから聞こえる師匠譲りの不穏な評判

  2. 7
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 8
    キムタク主演ドラマがまさかの1ケタ…“考察”慣れしすぎて王道スポ根が楽しめない?

    キムタク主演ドラマがまさかの1ケタ…“考察”慣れしすぎて王道スポ根が楽しめない?

  4. 9
    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

  5. 10
    大谷は徹底した個人主義、思考回路も米国人…ゴジラ松井とはメンタリティーに決定的差異

    大谷は徹底した個人主義、思考回路も米国人…ゴジラ松井とはメンタリティーに決定的差異