「中国の行動原理」益尾知佐子著
世界で存在感を増す中国だが、ひとたび他国との間で問題が生じると一方的に圧力をかけ、力で相手を屈服させる行動を繰り返している。
その一方で「中国は相互に尊重し合い、公平で正義にのっとった、協力的で互恵的な新しい国際関係を推進していく」と大見えを切る。他国から見ると理解しがたいそんな中国の対外行動原理を国内政治の視点から分析する国際関係論。
中国では情報統制により外部からの脅威が実際よりも強調される傾向にあり、国民は常に強い不安感、不満足感を抱えている。より強い存在を恐れるそうした中国の世界観をはじめ、家族観や社会の秩序意識、政経分離のキメラ体制などを考察。海洋問題での強硬姿勢や経済構想「一帯一路」などのもととなるその対外行動のルールを読み解く。
(中央公論新社 920円+税)